ダイモチゾリ
  昔は、家普請のため山から切り出した材木を運搬する時、あるいは山師(木材を買い伐採し運び出す人)に頼まれて集落で買い付け伐採した木材を運搬する時にも使われた。何れも時期は積雪のある2月下旬から3月にかけて行われた。
 石黒のような険しい地形でのダイモチゾリによる運搬は道つくりからして大変な労力と危険の伴う仕事であった。
 東本願寺再建用材運搬で起きた明治16年の雪崩による尾神岳の大惨事今も語り継がれている。この時に使用された大橇(ソリ)が東本願寺に今も展示されている。この大橇の先端には、寄進者である「苅羽郡石黒村田辺重栄と田辺重五郎」の氏名が刻んである。積雪の多い石黒村では、冬期に奥山からダイモチゾリを使った材木の運搬が多く、とくに大橇作るに長けた大工がいたのであろう。

〇参考資料
資料→だいもち引き−年中行事
資料→だいもち引き
資料→東本願寺再建用材を運んだ大橇
資料→尾神岳雪崩事故
資料→東本願寺展示の大橇・鼻橇・毛綱
資料→東本願寺再建用材運搬中の尾神岳事故についての資料
資料→尾神岳事故の用材伐採地についての考察



北条西方寺の建築で使われたソリ(御堂の縁下) 
   2010年の8月12日に訪れた時に前年に起きた中越沖地震の被害の様子を見ようと、西側の床下を覗き込んだおりに目の前に巨大な橇の先端が横たわっていた。横には連結部もあり、明らかにそれは本堂を建築した折に使った橇であることが分かった。後日機会をみて、取り出して境内で組み立ててみたいと思っていたが、機会を得ないまま改修工事が始まり処分されてしまい、今にして悔やまれる。
大橋寿一郎-2018.8.4
 撮影日 2008.8.12