東本願寺再建用材を運んだ大橇
 上越市柿崎区岩手の円田神社の縁の下にあった大橇、下灰庭新田の宮ノ入家にあった鼻橇が、東本願寺の御影堂と阿弥陀堂をつなぐ廊下に展示されている。それは、地元が東本願寺再建用材を運んだ大橇として伝えてきたからである。
東本願寺に展示されている石黒村寄進大橇

 この大橇の先端には、寄進者である苅羽郡石黒村田辺重栄氏、同じく苅羽郡石黒村田辺重五郎氏の名が刻んである。積雪の多い刈羽郡石黒村では、冬期の仕事として大橇挽きに携わる人が多かった。そのため、石黒村には大橇引きを指揮する木遣り師や大橇をつくる大工がそろっていた。また、石黒村は高田教区の寺院の門徒も多く、もともと頚城地方とは縁も深く,川谷村の近接村ということもあり川谷村から東本願寺再建用材の搬出に当たって、石黒村の人々の協力は必然だったと思われる。〔後文略〕
            
上野實英著 「いのちいしづえ」から抜粋