ブラ提灯    
 懐中電灯が普及するまでは提灯が使われた。提灯には、六角提灯弓張り提灯、ぶら提灯があった。
 ぶら提灯は足下を照らす手軽な照明器具として夜間に出掛ける時によく使われた。家紋の付いたものもあった。(上写真)
 ロウソクをつけるときには下に折りたたむようにして点けたら戻して上のカギにとめる。上げ下ろしをするときには微かにバリバリという音がしたことを憶えている。
 筆者は、子どもの頃、夜、土蔵にある大きな米タンクから米を箕(み)の中に取り出す時の提灯持ちを言いつけられた。
 余計なことだが、行き帰りに土蔵に通じる小路で見上げた満天の星空が不思議なくらい鮮明な印象として今も残っている。
 一般の家庭で当時、最も多く使われた提灯は六角提灯であった。その理由は、素人でも作られる事、また床に置くことが出来る事にあったのであろう。

民具補説→提灯のいろいろ