チャンチン
暮らしとの関わり
  チャンチンを石黒では、所々で見かける。これらは、おそらく昭和20年の後半頃から、水田の近くにハサ木としてトネリコやポプラなどとともに苗木を購入して植えられたものであろう。
 チャンチンは葉や幹に一種の匂いのあることが特徴で、筆者が子供のころには石黒では「雲越し」と呼んでいた。成長が速く高く伸びることからつれられた方言名であろう。
 多くの家で苗木を取り寄せて植えたが、ようやくハサ木として用をなすほどに成長した頃には、コンバインによる刈り取りの時代となりハサ木は無用となった。その後、半世紀が経過し今ではチャンチンだけが大木となり、そこにあった水田は原野に還っている所が多い。
 しばしば、下の写真のように一定の間隔で植えられたチャンチンの大木に出会うが、これらは明らかにハサ木として植えられたものである。
 ※昭和30年代の日本経済の高度成長期における農作業の機械化は山深い石黒の棚田の農作業も一変したのであった。それまで数百年にわたって続いてきた三本鍬万能による過酷な田打ちの作業が動力耕運機による作業となり、その効率化には目を見張るものがあった。
 現在見られるチャンチンは、何れも大木で、花や果実の採取ができず今のところ、拡大画像が載せることができない。来年は是非撮影したい。
 また、市街地周辺に見られるニワウルシと似ているが、果実が明らかに異なる。

〔写真2011.10.23 上石黒〕


 ハサ木の間隔に植えられて大木化したチャンチン

写真2011.7.19 鵜川 北向

写真2011.11.23 板畑

              花期

写真2011.7.8 上石黒


解 説
ニガキ科
 中国原産の落葉高木
 高さ20mに達する。日本には江戸時代に渡来する。
 樹皮は暗褐色で木全体に一種の臭気がある。
 葉は互生し奇数羽状複葉または偶数羽状複葉で30〜50p(下写真)
 小葉は卵形または長楕円形で全縁、先端は鋭く尖る。長さは10pくらい。
 春の新しい葉は赤色または黄色で美しい(写真準備中)。
 花期は6〜7月。大きな円錐花序を枝先につける。
 花は緑白色で小さい両性花で短い5個のガク片と下部で花盤に付いている5個の花弁と5個の雄しべ1個の雌しべがある。
 さく果(下写真)は皮質で長楕円形下垂し果は上を向く。種子には長いがある。
 名前の由来は中国名「ヒャンチン」(香椿)から転じたものといわれる。
 
用材としては、建築材、器具材、楽器、土木用材等に用いられる。また、新芽は食用となると記された資料もある。



  奇数複葉と偶数が混在

写真2005.8.31 上石黒

        落葉
写真2011.11.23板畑(初雪)

   果実(落下していたもの)
写真2011.10.23板畑