サルスベリ(植栽)
暮らしとの関わり
 昭和20年代の石黒には、植栽されたサルスベリはなかったように思う。だが、石黒寄合の道路下の家にそれらしい木があったようにも思われるが定かではない。現在では石黒寄合の屋号「北田」の家の玄関先に見られる。(下写真)
 筆者のサルスベリとの出会いは、三島郡の夏戸のの小学校の校庭にあった大木のサルスベリで、幹の周囲1m近くあったと思われる。当時は植物に対する興味もなく特に関心もなかったが、そのサルスベリを校庭の中で移植作業が行なわれたことから、よく憶えている。というわけは、筆者はこの移植は難しいだろうと思ったからだ。移植は専門の庭師がやるのであったのに素人の自分が、そんな心配をしたのは、余りにも樹が大木であったからだと思う。結果はさすがプロの手腕、見事に移植に成功したのだった。
 筆者は、当校の職員であったので、移植の様子をつぶさに観察したが、まず移植時の万全の支柱に驚いた。数本の太い竿で強風を受けても移植の樹がびくともしないほど万全なものであった。今にして思うと堅固の支柱は樹木の移植では欠くことのできない要件であると思っている。それに水をくれるための塩化ビニルの管を地中の根の近くにまで確実に届くように3本差し込んで地上部に出た切り口から水分を与えたことも覚えている。
 ところで、百日紅は夏の樹木の花の代表であり、特に白色のサルスベリの花は涼感を呼び美しい。今夏(2018)は記録的な猛暑で体温を越える気温も報じられている。そんな炎天下での白花は何度見ても快い。(上写真)
 また、品種によっては、実生から花を咲かせるものもあるというから驚く。一方、野草でもクルマバハグマなどは実生から開花までに少なくとも25年もかかるというから自然の多様性には驚嘆する事が多い。
 サルスベリの樹皮は石黒にふつうに見られるリョウブに酷似している。

(写真 209.8.10 松美町)


        庭に植えられたサルスベリ-1
  写真 2018.9.6 寄合 

           庭に植えられたサルスベリ-2

 写真 2019.8.10 松美町



解 説
ミソハギ科
 中国南部を原産とし江戸時代に渡来する。広葉の落葉小高木
 幹の特徴は古い樹皮のコルク層が剥がれ落ち、新しいすべすべしていて、リョウブやナツツバキに似た感触と外見の樹皮となる。
 葉は通常2対互生、または対生になることもある。
 花期は7月下旬から〜8月、花色は濃紅・薄紫〜白色があり、円錐花序となりガクは筒状で6裂し花弁は6枚で縮れている。(下写真)
 果実は円形のさく果で種子にはがある。花が美しく耐病性もあり高さも手頃で庭木に植栽されることが多い。(アブラムシがつきやすいので留意が必要。剪定は筆者の経験では冬囲い前にその年に伸びた枝は根元から切り取ると翌年に丈夫な枝が出て、大きな花序が付くようだ)。
 また、実生から育ててもすぐに開花することも好んで植えられる理由の一つである。
 名前の由来は、そのすべすべした樹皮の様子によるもの。



       幹の様子
写真 2018.8.2 松美町


       白花

写真 2019.8.3 松美町