サルナシ
暮らしとの関わり
 石黒には、今も多くはないが、たまに見かける。
 2005年に最初に出会ったのは落合集落の地名「嶺山」であった。翌年にかけて花期〜果実期と撮影に通ったが、その後、上石黒の嶺坂のブナ林の縁にもあることを知った。とはいえ、マタタビ同様に石黒では少ない植物のひとつである。 子どもの頃には、この果実を食べたが、ミヤマツ(ヤマブドウ)と共にたまにしか出会わない果実であった。味は、9ギョウジャノミズエビヅルに比べて独特な味ではあったが甘みが劣った。また、食後に一種のえぐ味が口のなかに残った。
 かなり太い蔓になって樹に巻き付いているものもあった。筆者の見た限り絡みついた木は低木であり、高木にからみ上った個体には出会ったことはない。だが、WEB上の資料によれば年間10mも伸びるとのことだ。
 村の古老の話では、この蔓は丈夫であり昔は物を結わくために使ったものだという。
 花には「雄株の雄花」と「雌株の両性花」がある。しかし、両性花は雌しべと雄しべを持っていても自家受粉で結実できず、結局、雄株の花の花粉を必要とする。→雄花
このことから、両性花の雄しべは無駄のようにも思われるが、自家受粉による弊害を防いだり、昆虫を呼び寄せるためには役立っているのではなかろうか(参考情報−ミヤマニガウリ)
 また、マタタビ科の植物であるサルナシに対する猫の反応は、筆者の家の猫(21才-マタタビには反応する)は老猫であるが、反応しなかった。しかし、キウイフルーツの根には反応を示すのでサルナシも根には反応するかも知れない。実験してみたいものだ。
 今日(2017.2.26)こよなく猫を愛するSさんが来宅し、猫とマタタビからサルナシに対する猫の反応が話題となり、Sさんの観察でも、やはり猫はキウイフルーツの根には反応したとのことであった。
 そのほか不思議な雪虫-セッケイカワゲラの生態や、いろいろな植物の虫えいについて語り合った。さわやかな涼風のように心地良いSさんの人柄に久しぶりに接し楽しいひと時を過ごした。

(上写真2005.9.16上石黒 右上2005.6.12落合 右下2005.10.12上石黒
参考画像→マタタビとの比較


             花期1

撮影日2005.9.15上石黒

       花期2-雌花あるいは両性花

撮影日2005.9.15上石黒

           たわわについたサルナシの実

  撮影日2005.9.15上石黒
解 説
マタタビ科
 日本全国に見られるツル性落葉樹。雌雄異株
 蔓は長く伸びて枝分かれして幹は径10p余にも達する。
 葉は広卵形で長さ6〜10p。先は尖り基部はやや円形に近い形で縁には棘状の鋸歯がある
(下写真)
 花期は5〜6月。キューイーフルーツに似た花をつける。花には雄花と両性花がある。
 上の写真の上段が
雄花花柱がない。中段・下段が両性花柱頭には放射状に多数の切れ込みがある(上写真)
 果実は長さ約2.5p、秋には熟したものは果皮が艶やかとなり中の種子は多数で黒ゴマ状。
 名前の由来は猿が食用とし猿酒を造ったという言い伝えによる。  キューイーフルーツは中国のサルナシをニュージーランドで改良したものという。



       葉の形

撮影日2005.9.15上石黒

     トゲ状の鋸歯

撮影日2006.7.1上石黒

   サルナシの雌花つぼみ

撮影日2006.6.8落合

 サルナシの結実直後の実撮影日2006.7.1落合 

      完熟果実
撮影日2005.9.15上石黒

     果実の中の種子
撮影日2005.9.15上石黒