ナツハゼ
暮らしとの関わり
 ナツハゼは石黒では希に見かける樹木の一つである。
 子どもの頃は色々な木の実を好んで食べたがナツハゼを食べた記憶はない。ナツハゼの木が筆者の生まれ育った下石黒集落の近くの山には自生していなかったのであろうか。あるいは10月ごろは他にアケビヤマブドウなど美味しい木の実が多かったせいであろうか。今、食べても完熟したものは甘みもあり、なかなか美味しい果実である。寄合では、「ナツブドウ」と呼んだというくらいであるから、少なくとも寄合集落には多く自生していたに違いない。
参考画像→熟したナツハゼの実
 本頁の写真は、下寄合地内にあるテレビの共同アンテナの設置場所へ通じる道〔昔はテレビ塔右下の作場へ通じる農道〕
に祭られている金比羅様の祠近くに生えているナツハゼである。
 ところが、今年(2011)秋に、この木を訪れるとテレビの共同アンテナの設置場所へ通じる山道沿いにあったため除草剤をかけられて枯死してしまった様子であった。なんとか株の一部が生きていて来春には新芽が出ることを願っている。
 また、古老の話によると、昔は寄合地区には、このナツハゼが多く見られ、「ナツブドウ」と呼んだという。特に下寄合の子ども達の門出校への通学路であった釜坂峠〔旧道〕にはナツハゼをはじめサガリイチゴ〔モミジイチゴクマイチゴ〕やハコズミ〔カクミノスノキ〕など多くあり、登下校時に採って食べたものだという。〔小林フジノさん談


(上写真2005.10.22寄合 背景は扇ケヤキ )



            
花期のナツハゼ



           
包葉と5裂するガク

写真2005.7.3寄合





             
 果実

写真2006.9.29寄合

写真2007.11.14寄合 背景 おうぎけやき 
解 説
ツツジ科
 北海道から九州の山地に生える落葉低木。高さ1mほど。
 葉は互生し長さ2〜4p、幅1〜3p
(下写真)。葉の縁および裏面には粗い毛があり全縁である。
 4〜5月に前年の葉の脇から5〜6pの花穂を伸ばし鐘型の花を一列につける
(写真)小花の長さは4〜5o。 
 ガクは浅く5裂し裂片は三角形、花冠の長さは4〜5o、先は浅く5裂し無毛である。雄しべは10個、雌しべは1個で子房は下位。
 液果は球形で径7oほどで赤色から黒色に熟し食べられる。
〔左下写真〕
 果実の上部にガクの跡が輪のようにつく
(上写真)
 名前の由来は秋に紅葉するハゼノキに対し早く赤く色づくことによる。




     鐘形の花

写真2009.6.3寄合


    互生する葉

写真2009.6.3寄合

       青実
写真2006.7.9寄合

    葉の表裏



     7月の果実

写真2006.7.23寄合

    葉の表裏

写真2009.6.3寄合

   葉の縁の粗い毛
写真2006.7.23寄合