カスミザクラ | |
暮らしとの関わり 石黒では山に咲く桜はすべて「ヤマザクラ」と呼んだ。 山のあちこちにカスミザクラの大木があり、本格的な春の到来を知らせる木であった。 よく山道の脇などに大木があったが、昔から囲炉裏の燃料のボイとして切り取らずに残して育てたものであろう。また、山桜は、燃料の薪としては不適な事も大木になるまで残る要因となったと思われる。 カスミザクラのサクランボもまばらに実ったが、高い木の枝につくので採れなかったのか美味しくなかったのか、子どもの頃に食べた記憶はない。 上の写真は寄合と門出の分水嶺であるヤブツで撮った。樹の基部の直径が1mを越る巨木である。この地は昔、280年も続いた門出と石黒の入会地争議の土地の一つである。写真の背景は門出方面の山々。参照→石黒の歴史 ヤマザクラやオクチョウジザクラに比べて遅く開花し、まわりの木々の芽吹きが大分進んだ中に際だって見える。別名ケヤマザクラともよばれ、他のサクラに比べて花柄や葉脈に毛が生えている。 →参考画像 (写真2005.4.30寄合) カスミザクラと残雪 写真2005.4.30寄合 葉が緑色・カスミザクラ 写真2005.4.30寄合 嶽のカスミザクラ 撮影日2005.5.3板畑 城山のカスミザクラ 撮影日2007.5.4下石黒 |
解 説 バラ科 北海道・本州に自生する落葉高木で高さ15〜20mにもなる(左上写真)。 幹は灰褐色で横に長い皮目がある。 ヤマザクラに似ているが葉の裏側に艶がある。(下写真)。 葉は互生し、長さ8〜12p、幅5〜7pで両面にまばらに毛がある。裏面は艶のある淡緑色。葉の縁には鋸歯がみられ重鋸歯のものもある。葉柄の上部に蜜腺がある(下写真)。 4〜5月ごろにヤマザクラよりは少し遅れて開花する。花は径2.5〜3pで、ほとんど白色に近い淡紅色で葉と同時に開く(左写真)。 花時の葉の色はヤマザクラが赤味が濃いのに対してカスミザクラは緑色が濃い。 花柄は長さ2pで細毛がある。基部には小さな包葉がある。花軸の長さは2p内外。ガクは5個、水平に開出し雄しべは多数、雌しべは1個、子房、花柱ともに無毛。 果実は紫黒色に成熟する。 名前の由来は、山に咲く様子を霞にたとえたもの。 幹 撮影日2011.5.9 上石黒 葉裏の艶 撮影日2005.4.29 寄合 花柄や葉脈の細毛 撮影日2011.5.28下石黒 蜜腺 撮影日2011.4.29下石黒 果実 撮影日2005.6.18寄合 撮影日2005.6.18寄合
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