オクチョウジザクラ
暮らしとの関わり
 石黒では、カスミザクラやオクチョウジザクラなど山に咲くサクラを総称してヤマザクラと呼んだ。
 カスミザクラが大木になるのに比べでオクチョウジザクラは低木で株立ちになって山腹に多く自生している。冬はふせるようにしなって雪の下でじっと春を待つ。そしてマンサクに続いて最も早く開花して村人が待ちに待った春の到来を告げた。
 カスミザクラやヤマザクラのような豪華さはないが清楚で可憐である。
 また、初夏に実る小さな黒いサクランボを子どもたちは好んで食べた。
 チョウジザクラとの区別点はガク筒に毛が少ないこととガク片に鋸歯がないことと聞く。

(写真2005.4.24寄合)


               満開の頃

写真2016.4.2畔屋
                果実期

写真2009.5.19寄合

長いガク筒(ガク筒に毛がなく、ガク片に鋸歯がない)

写真2005.4.24寄合

解 説
バラ科
 北陸から北の日本海側の多雪地帯の山地から山裾に生える落葉低木
 高さ3〜4mで株立ちする。
 葉は長さ6〜9pで開出毛を散生する柄がある。先は尾状に尖り縁には二重鋸歯がある
(下写真)
 花は3月下旬から4月上旬に葉に先立って1〜3個かたまって咲く。色は白色または淡紅色で直径2pほど。
 果実は黒紫色で径9oほどで熟すと黒色となり甘い。
 名前の由来は
花のガク筒が長いことから横からみると丁の字に見える(上写真参照)ことによる。



       二重鋸歯

写真2005.4.24寄合

      葉の表裏
写真2014.6.23 寄合