イヌコリヤナギ
暮らしとの関わり
 イヌコリヤナギは、石黒川沿いによく見られる。
 子供の頃からヤナギというと、まず、この艶のある枝と先のとがらない葉のイヌコリヤナギを思い出すのは、それだけ身の回りに多く自生していたからであろう。
 子どもの頃、川遊びに行き、川岸のイヌコリヤナギの根元にザルをそっと差し込んですくい上げるとウグイカジカなどが捕れた。ザルですくい上げる時のわくわくした気持ちは今も鮮やかに蘇るほどである。
 また、子どもの頃、釣りの餌にするヤナギ虫を捕るため、川岸のヤナギの枝を裂いて大人に怒鳴られた記憶がある。ヤナギが護岸の役目をしていることを知ったのはその時であった。そのヤナギも、このイヌコリヤナギやネコヤナギであったと思う。→子どもの暮らし
 
先日〔2012.6.2〕花坂新田を訪れる途中に種子を散布中のイヌコリヤナギに出会った。おびただしい種子が綿毛に乗って散っていく、心地よい微風の中で、たゆまぬ自然の営みに改めて心を打たれる思いがした。→種子散布の動画

〔写真2007.5.16 下石黒〕


          果期のイヌコリヤナギ

写真2012.6.2 花坂新田

写真2012.6.2 花坂新田

  白綿毛をもった種子を出すサク果

写真2012.6.2 花坂新田
解 説
ヤナギ科
 各地の水辺や湿地に生える落葉低木。雌雄異株
 枝は細くまっすぐで無毛、艶がある。
 葉はほぼ対生し柄はない〔下写真〕。葉の長さは3〜5pで基も先も鈍円形。裏側は白色を帯びる。縁には低く細かい鋸歯があることもあるがほとんど全縁である〔下写真〕
 早春に葉より早く長さ3pほどの尾状の花序を出す。
 さく果は2片に裂け白綿毛のある種子〔下写真〕が飛び出す。
 名前の由来はコリヤナギに似ているが利用価値がないことによる。


     対生する葉

写真2012.6.2 花坂新田

低く細かい鋸歯と白っぽい葉裏

写真2012.6.2 花坂新田

   種子の顕微鏡写真写真2012.6.3