ウグイ(ハヤ)
暮らしとの関わり
 ウグイは、石黒川や落合川には多く生息していて、子どものころから「ハヨ」と呼んで親しんだ魚である。
 初夏から秋まで子ども達は魚釣りを楽しんだ。夏には素っ裸になって川に入り石の下に両手を入れてウグイを手づかみにして捕まえた。これを「ヨォ(魚)をねじる」と言った。釣り竿で釣るとは異なった快感があった。松沢川にも沢山のウグイがいた。
 当時は、大勢の子どもが盛んに魚釣りをしたものだが、いつも沢山のウグイやカジカがいた。それに比べ、今では魚釣りをする子どもの姿も絶えて久しいが、昔ほどの個体数がみられないように思われる。
 上の写真は2007年の9月に町の体験教室で子ども達が上石黒地内の川で釣ったウグイである。この時は、1人が2、3匹しかつれなかったようだ。(上の右下の写真ほどのウグイは昔も大型のウグイの部に入った。)
 昔の下石黒の釜淵(かまふち)には大きなウグイが沢山集まっていた。釜淵は子ども達にとって楽しい遊び場であった。
 時には、子ども達が釣りをしているところに、投網を持った大人がやってきて沢山のウグイを捕って行って恨めしい気持ちになったこともあった。また、戦後間もない頃に、村の若い衆がダイナマイトで魚を仮死状態にして捕まえたこともあった。
 77歳の今も、滝の音と共に釜淵で遊んだ夏の日の記憶は鮮やかに甦る故郷の懐かしい思い出の一コマである。
→子どもの暮らし

写真上・右上2007.9.28上石黒 右下コピー(高柳の自然)


          群れで泳ぐ水中での様子

写真2014.10.27下石黒

            釜淵(下石黒地内)

撮影日2003.8.23 釜淵でザルで魚をすくう子どもたち
※滝の高さは60年ほどの間に滝の上の川底が削られたため、今では当時の3分の2以下になってしまった。
ビデオ資料-石黒川のウグイ

解 説
コイ科
 北海道から四国、九州に分布。川の上流から下流、池などにもすみついている。
産卵期以外は海に下って生活するものもある。かなりの水質の良くない川でも生息できる。
 群れを作って泳ぎ回るので橋の上からもよく確認できる。
 幼魚はアブラハヤの幼魚と似ているが斑点がないことで区別できる。
 産卵期には頭やひれにニキビのようなもの(追星)を生じ体の側面に三列の赤い帯(婚姻色)が現れる。孵化から1年目に約5cm、2年目に10-15cm程度に成長し、2-4年目で繁殖活動を行う。
 川で見られるものは20p内外であるが海に下ったものは45pほどに成長する。石黒川の下流の鯖石川(大沢地内)でも40pを超えるウグイが釣れた記録がある。
食性は雑食で水生昆虫、水に落ちた昆虫、川底のコケ、小さな魚など何でも食べる。寿命は7〜8年。