ツバメ | |
暮らしとの関わり 豪雪地帯の石黒では、ツバメの渡来は春の到来を告げるものであり、うれしいことであった。 馬屋作りの民家の入り口には、大抵の家にツバメの巣が見られた。巣から落ちる糞を受け止める為に巣の下にサンダワラを吊り下げて受け止めたりした。(雛鳥の糞は餌を運んできた時に親鳥が運び出し野外に捨てる習性があるが間に合わない場合の糞が落下する) また、夜もツバメの出入口を開けておくことを忘れなかった。ツバメも人の出入を怖れる様子もなく、玄関の天井張りに巣を作った。ヘビ(主にアオダイショウ)などの天敵や他の鳥(スズメ、キセキレイ)に邪魔される事なく子育てができたからであろう。ただ、昔は大抵の家には飼い猫がいたので、猫が庭などを歩いていると営巣期には急降下して威嚇した。筆者の経験では、希にすばしこい猫が急降下してくるツバメを飛びあがって両手で捕えたこともあった。 家族はツバメの巣作りから産卵、孵化、巣立ちまで、いやおうなく目にすることになり親しみがわく。 人の住んでいない家には決して巣を作らないツバメは、山村の過疎化と住宅の近代化により、渡来しても巣作りする場所が見つからず、急激に数を減らしている。(参考記事) 2022.7.14の筆者が購読している新聞の文芸欄に「玄関を ツバメの宿にと少し開け 老いし夫婦は村離れ行く」という短歌が掲載されている。知人である作者と同様、寂れゆく故郷が目に浮かび胸の奥が痛む想いがする歌である。 このような現状の中、石黒地区の大野集落の大橋良男御夫妻は、数年前から玄関脇の一室をツバメのために解放され続けておられる。平成24年には実に44組のツバメが営巣した。正にツバメのコロニーといったところだ。一室解放といっても、床には一面に新聞紙を敷いて取り替える仕事も並大抵のことではない。→参考資料 ※ビデオ資料→水田の上を飛び交うツバメたち 〔写真 2005.5.3大野 右上2007.6.2大野西隣〕 駅の構内に作られた巣 写真2015.5.10米山駅 ツバメ越冬地 作図2015.3.28 |
解 説 ツバメ科 種子島から北海道にかけて繁殖するが北海道は数が少ない。 好んで人家の玄関などに巣を作る。代表的な夏鳥で九州では3月上旬、本州では3月下旬から4月、北海道では5月上旬頃に渡来する。 大きさは約16cmほどで翼と尾が長い。尾は深く切れこみ、燕尾をなす。スズメ目の中では最も空中生活に適応していて、餌となる昆虫を空中で捕食するのみならず、飲水、水浴も飛びながらおこなう。また、地上すれすれに飛ぶこともできる。 繁殖は雄雌で分担しておこない5月〜8月に雛を育て10月下旬までに数百数千と結集して越冬地の南方に旅立つ。 電燈の配線に作られた巣 写真2005.5.3大野 孵って間もない雛 写真2007.6.2大野 巣だったばかりのツバメ 写真 2022.7.8 松美町
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