トウゲシバ
暮らしとの関わり
 石黒では、林の中で時々見かける植物の一つである。常緑のため、晩秋に山に入るとよく目立つ。
 中学生の頃、ブナ林で初めてこの草に出会ったときは貴重な植物を発見したような気がしたものだ。
 小形で縁に切れ込みのある細い葉が、輪生のように何層にも重なっている姿は盆栽にしたいと思うほどである。
 現在も、しばしば林床で見かけるが思わず足を止める、とくに木漏れ日の中で艶やかな葉が光る様には見とれてしまう。→下写真
 中国では、この草が丸ごと薬草として使われるという。
 先日(2014.1.3)に、真冬の畔屋の山に入ると雑木林の斜面のトウゲシバが目を引いた。よく見ると周囲には常緑のシシガシラショウジョウバカマオウレンコシノカンアオイなどが見られた。→参考画像

(写真2005.12.3下石黒) 


          枝分かれの様子

写真2009.11.30上石黒


             胞子嚢

写真2009.11.30上石黒

      雪が消えた後に立ち上がるトウゲシバ

写真2005.4.10上石黒  後方にスハマソウ
    
解 説
ヒカゲノカズラ科
 北海道から九州に分布する常緑のシダ植物。多年草。
 山地の腐植土上に生え、まれに群生する。
 茎は、斜めか真っ直ぐに伸び、何本か枝分かれして立ち上がる
〔左下写真〕。高さ10〜15p。
 葉は細長い線状で互生し密生する。長さは1〜2p、幅3〜5oで縁には数個の細い鋸歯がある。中央に1本の脈がある
〔下写真〕
 胞子嚢は茎の上部の葉のつけ根につき半球形で淡黄色である。
〔上写真〕胞子の他に茎上部につく不定芽〔ムカゴ〕が落ちて繁殖することもある。
 名前の由来は「トウゲヒバ」ともいい、峠付近にある小形の草という意味という。 





    オオイワカガミと共に

写真2009.11.30上石黒

  葉の縁の鋸歯と中央の脈

写真2009.11.30上石黒

        根部
写真2009.11.30上石黒