サワオグルマ


暮らしとの関わり
 石黒には少ない植物である。サワオグルマに、2006年の春、初めて下石黒のタキノフチで出会ったときの感動を今も憶えている。道をへだてた苗代の苗が大分伸びていたころであった。黄色の花が春陽を浴びてまぶしいほどに美しかった。
 その後、寄合集落釜坂下の放棄田でかなりの群生(写真下2006.5.8)を見かけたが年々数が減っている。現在ではヨシ原と化してサワオグルマの数は激減している。(下写真2010.5.28)
 今日(2011.5.15)上条地区で大きな群生に出会った。→参考画像
 場所は、住宅付近の荒らし田の中だ。近づいて見るとヨシガマがかなり侵入している。人間の手が加わらない限り、これだけ群生するとサワオグルマは衰退期にはいり侵入したヨシやガマに圧倒されて減少していくであろう。あるいは、前記の寄合のサワオグルマと同様の運命をたどるかもしれない。
 だが、筆者の経験では、衰退していく野の草は人が手を貸してほんの少し周りの草を取り除いてやるだけで意外なほど勢力を回復するものだ。この「ほんの少し」は、肝要なことであり、その野草の自生する環境を変えてしまうような手入れは禁物であることは言うまでもない。

〔写真上・右上2006.5.8寄合〕


              柄のある下葉

写真2006.5.8寄合

        根生葉から茎上部の葉

写真2011.5.15寄合

             群    生

写真 2006.5.8寄合

          管状花と舌状花

写真2011.5.15寄合

      ヨシに攻め込まれるサワオグルマ

写真 2010.5.28寄合

 茎葉の白い綿毛と鋸歯の先端

写真2007.5.6寄合

         果実期のサワオグルマ 

写真2007.5.25寄合
解 説
キク科
 本州から沖縄にかけて分布する日本固有の多年草。日当たりのよい湿地に生える。時には群生する。
 茎は直立して高さ30〜60pで中空(下写真)
 葉はヘラ形で厚く下部の葉には柄があるが上部の葉は柄がなく茎を抱く(左下写真)。葉はやや肉厚で深緑色。とくに新葉は白い綿毛がある。(左下写真)
 花期は5〜6月。茎の先に多数(6〜30個)の花を散房状または、やや散状につける。頭花の直径は3〜5pと大きく黄色で美しい。
 総苞はコップ状で長さ8mm内外。幅約1、5〜2p。総包片は広皮針形、先は鋭い(下写真)舌状花は長さ11〜16mm内外。幅約2mm。
 果実はそう果で長さ4mmで無毛、冠毛は花後伸びて白色。(左下写真)
 名前の由来は花がオグルマに似て沢辺などの湿ったところに生えることによる。



       つぼみ

写真2007.5.6寄合

     コップ状の総苞

写真2007.5.25寄合

     そう果の冠毛


写真2007.6.2寄合

       中空の茎

写真2009.5.19寄合

      上部の葉

写真2009.5.19寄合

    草全体の様子

写真2009.5.19寄合

        基部

写真2007.5.25寄合 


   ※参考画像 オグルマ
写真2012.8.17荒浜海岸