フキ | |
暮らしとの関わり 石黒では、フキを「ホウキ」、集落によっては「ホウキノフキ」、またフキノトウのことを「ホウキントウ」と呼んだ。 石黒の長く厳しい冬の終わりを告げ、待ち焦がれた春の到来を真っ先に知らせるのがこのフキノトウである。 3月に入ると間もなく雪のない急な斜面や崖の縁に見かけるようになる。ほんの一つ二つしか出ないので、採ったフキノトウはフキノトウ味噌にしてその香りを楽しんだ。 フキノトウは花としての美しさは乏しいが、人の心を引きつける魅力は、とりわけ雪国の人にとって他に勝るとも劣らないと言ってよい。ちなみにフキノトウは秋田県の県花である。 6月ごろになるとフキの葉も生長して食べ頃となる。フキは山菜としては癖がなく誰にも好まれた。 フキノトウやフキの茎は石黒ではウドと同様どこにでも生えていて誰にでも採れる上に、採取期間が長いので山菜として人気があった。山菜としては雄花のフキノトウが好まれた。 また、フキの葉は大きくて、しなやかななのでクワイチゴやグミの実を包んだり、山路の湧き水を飲むときのコップ代わりに使った。フキの柄杓で、爽やかなフキの香りともに味わった故郷の山の湧き水のおいしさは誰も忘れることはないであろう。 参考画像→ふるさと フキ三景 ちなみに、花も葉柄も昔から親しまれたフキであるが、地下茎は有毒であるといわれるので注意したいもの。 関連資料 フキ(蕗) (写真上2004.5.16下石黒 右上2009.3.28下石黒 撮影政栄 右下2005.5.26下石黒) フキノトウと春の上石黒集落 写真2015.4.24旧石黒校校舎裏 フキノトウ雄花 写真2005.5.3板畑 フキノトウ雌花 写真2008.5.3板畑 雪解けの遅い春のフキノトウ 写真2010.4.30上石黒-豪雪 上石黒高床 フキの葉の出始めの頃 写真2009.4.5(記録的な小雪) 松沢川 そう果をつけた雌株 写真2010.5.17落合 種子散布のころ 写真2010.5.24下石黒 種子散布後 写真2016.4.27極楽寺 たくましく伸びる 写真2008.5.12下石黒 |
解 説 キク科 本州・四国・九州に分布する多年草。(岩手以北はアキタフキ) 根は地中で太い地下茎となり横に伸びる。 春、葉に先がけて包につつまれた花茎(フキノトウ)が出る(下写真)。雌雄異株。雄花は黄色がかっていて、雌花は白っぽい。雄花と雌花の区別→参考画像 花期は4〜5月。前年の葉柄の基から薹〔とう〕、フキノトウが出る。 雄株では花茎の長さ7〜26p。褐色の毛が密生し、包は多数で長楕円形で長さ3〜8p。平行脈があって淡緑色。 頭花は径7〜10o。すべて両性の管状花からなり稔らない。総は筒状で長さ6o。基部には披針形の包が2〜4個つき、片は2列で同長、狭楕円形、花冠は長さ7.5o。ヤクのの下部は鈍形。 雌株は、はじめ花茎に頭花を密集して散房状につけるが後に伸びて70pほどに達し円錐花序となる(左下写真)。 頭花は、花時に径7〜10o、縁に多数の雌花、内側には少数の両性花がある(下写真)。総包は花時に長さ5o、花後9o。雌花の花冠は糸状で長さ6.5o。先は斜め切り形。 そう果は円錐形で長さ3.5o、幅0.5o、毛はない。冠毛は白色で長さ12o〔左写真〕。 名前の由来は冠毛を持った種子が風に乗って飛ぶ様子を吹雪にたとえて「吹き」から「フキ」なったという説からトイレットペーパー代わりに使ったことによるなど諸説がある。 苞に包まれた花茎 写真2008.5.3上石黒 雪消えと共に多く見られる 写真2009.5.1上石黒 群 生 写真2006.5.13上石黒 雄花(両性花-不稔) 写真2008.5.3板畑 雌花-帯赤味個体も . 写真2009.4.3板畑 種子散布期 写真2005.5.26下石黒 そう果と冠毛 写真2009.4.28板畑 山で水を飲む時のコップ替わり 写真2009.4.28板畑 |