エゾノギシギシ
暮らしとの関わり
 石黒ではギシギシを含めて「ンマ(馬)ノスッカシ」または「ヘンビ(蛇)スッカシ」と呼んだ
 太平洋戦争の頃の子どもにとっては、「スッカシ」と呼んだスイバは、おやつ代わりに食べた親しい野草であった。(子どもの暮らし)それに比べ、ギシギシ類はスイバの化け物のように巨大で気味悪いだけの植物であった。
 時には葉脈が赤く毒々しい感じのものと出会い一層親しめない印象を受けた。
 筆者には、ギシギシ、ナガバギシギシ、アレチギシギシとの区別に自信がない。本頁では、ひとまず果実の翼の鋸歯でナガバ・アレチとの区別し、ギシギシとの区別は葉の広さ(別名-ヒロハギシギシ)でひとまず同定した。
 また。ギシギシ類は畑の害草としても嫌われた植物だ。筆者にも除去に苦労した記憶があるが、地下には黄色の太い地下茎と根があり、根は地下5センチ程度の部位まで再生力があるので、地下10センチ程度ま堀取り除去しないと完全に退治できない。現在も、防除法の研究が盛んに行われているという。
 もともと暖地には育ちにくい種で北海道と本州北部のみに分布していたが現在では南下して四国、九州まで自生しているという。温暖化と逆行するような現象であるが・・・・。

写真2005.7.12板畑  右上は根出葉)


               春の頃

写真2009.5.8上石黒

       果実−翼がトゲ状

写真2007.9.7寄合

       葉裏脈状の短毛

写真2009.5.17下石黒
写真2005.7.12板畑


解 説
タデ科
 沖縄を除く全国各地に見られる、ヨーロッパ原産の多年草。荒れ地や道端に多く生える。要注意外来植物
 茎は直立して比較的細く高さ50〜130pほどでしばしば紅紫色を帯びる。
 根元の葉は長さ10〜25p、幅4〜12pと他のギシギシに比べ広く(上写真)、基部はハート形で中央脈が赤味を帯びてる。(ギシギシは赤味を帯びない)
 その他、葉の細かい編み目がはっきりしていて葉の縁が波打つ(下写真)
 また、葉裏の脈の上に乳頭状突起や短毛(左下写真)があることや花穂の枝が細く長く伸びることもエゾギシギシの特徴。
 花期は7〜9月。両性花。茎枝の節々に細かい柄をもった花が多数咲き、全体が円錐形の花穂となる。花披は淡緑色で3個のガクと3個の花弁は果実期まで残る。
 果実〔そう果〕は卵状の3稜形で長さ2.5oほどになり、花披片に含まれる。果実期の内花披片は狭卵形で先は丸く、長さ3.5〜5.5oで縁には数個のトゲ状の突起がある〔左写真〕。これが、アレチギシギシ、ナガバギシギシとの区別点といわれているる。
 種子の数は、平均一株あたり3〜4万粒。土壌中に埋没した場合は、長期間休眠し条件がそろえば発芽する。
 名前の由来は北海道に多いことによる。



   波打つ葉の縁

写真2009.5.15下石黒

        基部

写真2009.4.24 下石黒 記録的小雪の年

 ギシギシに比べ葉幅が広く葉柄もながい(左がエゾノギシギシ)写真2009.4.26下石黒