アサツキ | |
暮らしとの関わり 石黒でも「アサツキ」と呼んだ。雪が消えるとすぐに芽を出すアサツキはフキノトウとともに春一番の山菜であった。 若芽を味噌汁に浮かせて春の香りを楽しんだり、小さく巻いて生味噌をつけて食べたりしたことを懐かしく思い出す人もいよう。 まさに、早春のアサツキの味は長い雪との戦いを終えた人間が、1m余の残雪に囲まれた環境で食べてこそ感得できるものである。 その他、忘れることができないのは、田植えの終わる6月中旬ごろ、先ずアサツキのヒゲ根を爪で取り去り親指と人差し指で押し出すようにして、表皮を取り去り、透き通るような若い球根〔右下写真〕を取り出して汁かけご飯の友に食べたあの味である。 昼の最も長い時期で学校から帰ると子どもたちは、こうして小昼(こびる)を食べてから遊びや農作業などの手伝いに出かけたものだった。 筆者は、西日の入る明るい板の間に自分の箱膳をホロ〔戸棚〕から出して食べた時の光景を70余年も経った今も鮮やかに思い出すことができる。窓の外から近くの谷沢で毎年営巣するアカショウビンの鳴き声がしていたのは後付けの記憶であろうか。 また、野生のアサツキは栽培アサツキより小粒だが味が佳いといわれ、自生種を夏に球根を掘り起こして保存して夏から冬にかけて薬味として食した。(下写真) (上写真2005.4.28上石黒 右上下2005.6.28板畑) 山菜としての早春のアサツキ 撮影2009.4.3下石黒 政栄 アサツキの群生 2009.11.6上石黒 つぼみ期のアサツキ 写真2010.6.2下石黒 花期のアサツキ 2010.6.26上石黒 野生のアサツキと栽培アサツキ 2010.7.18下石黒 政栄 |
解 説 ユリ科 野山、田畑の周りなどに自生する多年草・球根(鱗茎)はラッキョウに似ていて1〜2p。 茎は細いネギのように真っ直ぐに立ち上がる。長さは20〜30p。葉の直径は2〜3o。 初夏には円柱形の真っ直ぐな花茎が立ち先端に赤紫の小花が球状に密集して開く。花序ははじめ紫色をした膜質の総包葉でつつまれている。〔上写真〕花被は6片が集まって広鐘形で長さ6〜7o。各片は卵状で先が尖り主脈は濃い色をしている。〔下写真〕雄しべは6個、花被より短く、葯〔やく〕は淡い紫色。 葉や根を食用にする。 名前の由来は、葉の色がネギ(葱)に似て色が浅いことによる。 浅葱〔あさぎ〕色とは、このアサツキの色であって、うすい浅黄色ではないという。〔牧野植物図鑑→下写真参照〕 春の発芽 撮影2009.4.3下石黒 政栄 つぼみ 写真2010.6.2下石黒 花 2005.6.28板畑 最も美味なころ 写真2010.6.2下石黒 浅葱色
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