一本バイ
 石黒で「バイ-べぇ」と言えば、木の二股で作った豆や小豆の実を莢〔さや〕からを分離すために叩く道具であるが、一本の撓(しな)った木で作ったバイも使われた。これは、ゴマなど手元に引き寄せて叩く時には便利であった。
 上の写真は木材から加工して作ったもののようであるが、筆者の祖母が昔使っていたものはヤマモミジらしい木の自然の撓りを利用して作った棒であった。
 手元に引き寄せて狙いを定めて強弱を加減して叩くには小型の一本バイの方が使いやすかったのであろう。
 外庭(めぇめぇ)にムシロを敷いて山笠を被り、根気よく小豆や豆の莢を叩いている祖母の姿が、70年も過ぎた今もありありと目に浮かぶ。
(2008.10記)

 ※参考資料-小豆の収穫