御掟条目  田辺重順家文書 読解中  用語の手引き
 
   
 
    郡中心得条目
一 御高札の條々並びに追々布告の趣堅く
  相守り申すべく第一広大成る御国恩報じ
  奉らん事を心懸け父母に孝行を盡し夫
  婦兄弟睦まじく朋友に至るまで誠を以って
  相交わり仮初にも喧嘩口論我卒成る事
  
 御掟条目


條目

郡中

布告

〇国□

我卒






  鰥寡孤独 →かんかこどく

廃疾

遞いに→たがいに

切支丹宗門

邪宗門

小前末々

〇徒党ケ間敷類


  無き様相互に慎み家業を励み申すべく
  鰥寡孤独にて年老いて子なく夫に
  別れ妻に別れ又幼少にて親離れ兄弟
  もなく亦廃疾とて片輪ある(或る)いは病気に
  なりし者は別して不便に候得ば縁者は言うに及
  ばず庄屋を始め村内遞い申し合わせ常々心を


  附け置き其の趣届け出べく事
一 切支丹宗門並びに邪宗門油断なく相改め小
  前末々迄寺院の証文取り置き申さず
  何事に依らずに徒党ケ間敷類あらば早速届け出べく
  若し隠し置き外より相顕れるに於いては庄屋は勿論
  末々迄厳重咎め申しつくべく事
  就中

正米

分米

〇疝撰立
※疝の意味不明

〇俵拵え→
文脈からここでの俵ごしらえは米を詰めなどの梱包作業を指すものであろう。

皆納



生民 
 
一  農業尤も大切に候儀その時節を失わず精
   を出し相励み御年貢米金御定めの通り滞り
   無く上納致すべくは勿論の事に候就中正米
   納の分米疝撰立は申すに及ばず枡入れ俵拵え
   等入念運送粗略の儀致す間敷若し皆納
   以前米穀取り扱い候者は急度咎申しつけべく事


   附けたり 不正の商売を事とし高利を貪る事堅く
   誡める所なり且つ亦米金銭□貸の利息毘
   常成るべく貸家地等過当の地米代等取る間敷事
一  脱籍浮浪人の儀に付き毎々布告の通り□□の
   者には夫々本地へ引き戻し生民に相成し各々其の所を
   得候様の者御主意に候間この旨厚く奉戴
  脱走


生業


 
  致すべき旨中には不心得より家業を怠り終に無産と
  成り窮迫の余り脱走に及ぶもこれ有るべく向後右の
  次第に立ち置かず様に常々衣食その外万事に
  節倹を遂げ業を励み永続致し候様心付くべし
  若し不心得身持ち宜しからず者有らば庄屋初め懇切に教
  諭を加え行状改めざる者は早速訴え出べき事


  附けたり追々他方より引き戻し者もこれ有り無産の事
  救い聊か宛て御手当下し置かれ候間その村方にても
  生業取り着き候様仕向け遣わし申すべく万一再脱まで致し
  候様にて厚き御主意に背き相済まぬ事尤も其の
  者不心得にて業に怠り引き立て能わず候はぱその趣
  申し出ずべく等閑に差し置き不都合の義これあり候はば庄

 
落度

他国商売

〇往来券 →
往来手形の事であろう。

脱籍

  屋初め方の者落度に候事
一 他国商売又は稼ぎに出で候者は何方へ相越すと申す
  儀出入り共庄屋へ相届け往来券を以って取り申すべく其の
  義これ無き様脱走に均(ひと)敷き筋に付き咎方申しつくべき事
  宿屋渡世の者勿論村々に於いても他所の旅人


  謂われなく数日滞留致させ候事相成らず仮令御
  用に付き何方より出張に候共他所の人総じて二日余りに
  及び候はば其の事柄並びに姓名書き記し届け出べき事
  附けたり他方脱籍の者村方に差し置き又は社寺等へ
  潜み伏し見逃し置き外より相顕われ候節は庄屋初め近
  傍の者厳重の咎申しつくべき事

 
  諸勝負

田畑永代売り禁止 
2年後の明治5年に廃止
一  賭博緒(はじめ)諸勝負固よりご禁制たり若し心
   得違いの者これ有り候はば当人は申すに及ばず品々により
   所の役人迄厳重の咎申しつくべく事
一  火の元常々大切に致すべく若し出火並びに盗賊その
   外不慮の変これある節は聞きつけ次第近づき相
   救いその趣届け出べき事


一  旅人その外何者に依らず病煩う等にて道路に斃れ伏し
   候者これ有らば見付次第出会い手厚く介抱し若し相
   果て候はば庄屋組頭立会い所持の品物衣類等相
   改め番人付け置きその趣委細届け出ずべく事
一  田畑永代売り禁止の
   附けたり自然質物等に入れ候ては漸次譲り帰し各 
  荒地起し返し

慮る

布告

触示

 
    生産に離れず様に致し又荒地起し返しなどの事
   も庄屋初め心を用い申すべく事
一 惣て証拠なく條理相立たず訴訟は無益に時日を
  費やし終に困窮の基且つ風俗を損じ候間相慎み
  申すべく尤も事実余儀なく訴訟諸願い等篤と庄
  屋与頭手前へ申し立ての上奥印請け差出申すべき事


一 豊年には凶年を思い常々手当貯えを致し
  不慮の備えは怠らず様遠きを慮るは肝要べく事
一 布告を始め触示の件の村々毎庄屋拝承の上
  小前末々迄残らず申渡しその上書き写し御高札場へ
  張り出し置き申すべく事
一 鉄砲殺生は勿論総て百姓町人発砲禁止の事
  官員

新宅の祝い


京都府告諭大意

宇内(うだい)


国体国是


 一 諸官員は申すに及ばず総て士へ対し無礼□厚く
  相心得えべき事
  附けたり村内に於いても年長を重んじ総て行き逢う時は
  相互に礼儀を致し道を譲り候様致すべき事
一 婿婿嫁取新宅の祝い並びに葬礼 祭り等は実意を
  旨とし質素相営み申すべき事


一 先般京都府告諭大意と言う書物その言神
  様の国体国是王政の御趣意宇内の形勢に
  通じ易く依って下々へ渡り候条村役人は素より其の
  他志有る者にはその旨会得し童幼婦女に至る迄
  精々教諭致すべき事
一 小前末々に至る迄皇国の御為又は村民の為
  建言

孝節

社寺建立停止


〇石地蔵

  筋等存じ込み建言致し度き者は憚りなく申し出べき事
一 郡中に忠孝節義尊行の者これ有り候はば其の趣意
  委しく申し出べき事
   附けたり悪巧みをなし又は人の目を掠める者有らば速やかに
   申し出べく仮令一旦その事に携わると言えども自訴
   致すに於いては其の罪を免じ遣わすべき事


  新規の社寺建立停止の事
   附けたり仏名題目の石塔供養塚石地蔵等建立
   の儀向後停止たり理に至極の義あらばあらは願い出の上指許すべく事
一 諸事公論も決すべき衆庶その所を得んと各志を
  遂げむる事 王政の御趣意たりその旨に背き諸
  人を妨げる者有らば村役人は素より書官有司の
 
  〇見習わずる(?)

御林

御立山

出役

私曲を構え

下人



 
  面々たり共憚りなく訴え出べく事
一 兼て免許これ無き場所にて遊女芸妓など抱え置くべからず
   附けたり百姓の妻娘芸三味線舞曲等の遊芸を
   専らし遊客酒宴の席に立ち交じり芸者遊女等
   見習らわずる事堅く相誡めるべき事
一 御林御立山の竹木枝葉たりと雖も御用の外採り用い停止の事


一 出役の面々権威を振るい或いは私曲を構え無理に
  仕掛け等の事有らば隠さず訴え出べく未々家来下人等
  にても同断たるべく事。
   附けたり廻郡の節百姓の馳走に相成らず村々費これ無き様申し
   付け候条聊にても饗応躰の儀すべからざる事
一 賄賂堅くこれを禁じ種々名目を付け軽き品にても差し 
 



音信

違背

柏崎県

〇御仁政

〇御趣意

〇 役成(やくなり)→
役職に就いたという意味であろう。

  贈る間敷別して出役の面々へは是迄如何程の国
  これ有る共音信礼物等差し出す事一切停止の事
  右の條々堅く相守り聊か違背すべからざる者也
   明治三年庚午正月
     柏崎県
    御役所


    村々庄屋心得の條々
一 庄屋役の儀は一村の長として百姓共へ伝達
  の事件を始め平生諸世話駆け引き等その役
  勢にて時により村中の総代に相立つべき事に付き
  謹みて御仁政の御趣意を奉じ精勤を遂ぐべき事
一 役成傲り尊大驕奢の所行堅くこれを戒め村用百姓
 
  〇是非→是悲の表記あり。

公事訴訟

依怙

方正廉直

触示


花宵→華宵



  共より申し出る儀を是悲をも弁えず差し押さえ誠
  実を以って上達せず或いは公事訴訟等に付き賄賂を
  受け依怙の取り計らい等致す間敷方正廉直を
  旨とし條理明々取り計らうべき事
  御布告を初め触示の件々庄屋拝承の上
  書き写し高札場脇へ張り出し置く申すべく事

一 御高札場損じ申さぬよう常々心を付け申すべく自然
  雨風にて御高札の文字塗減(掛?)致し候はば早々申し出べき事
  百姓離散せず様相心懸け貧窮の者有らば難渋
  未だ行き詰まらず内扶助の手当を致すべく自下に於いて
  □□□□の事は速やかに申し出べく常々花宵の奢
  を警め無益の費を省き農業を勤め諸人
  水損

目論見

自普請

荒地起し返し 

人馬継立

御蔵米

 

  成立の心遣わすべき事
一 田畑荒さず様堤防溝川道橋等修補怠らず
  自然水損等にて前々御普請のケ所破損に及び
  候はば下目論見帳相添え申し出べく自普請ケ所にても
  下々に於いての普請難渋程の事は速やかに申し出べく荒
  場起し返しの儀も村中申し合わせ精々心掛けべく事


一 田畑用水の筋山林等境界正し淨(争)論起こらず様兼て心付けべく事
一 御用人馬は申すに及ばず往来の者人馬継立
  昼夜に限らず滞りなく兼て其の仕法立すべき事
一 御米蔵の儀常々心懸け雨漏れ等これ無き様修復加えるべく
  は勿論番人等□をにすべからざる事
一 収(供)納米その外諸上納物 念を入れ百姓の傷みに
 
 


〇永利→水利か

〇良木→役立つ樹木ほどの意味であろう。(漆・櫨・楮等)

永世


  相成らず様心懸けべく事
一 官用と号し村内へ不当の出金致させ間敷村
  内諸入用費成る丈べくは相減じ明細に書き記し置き百
  姓中へ疑いを生じず様その訳具(つぶさ)に申し聞かせ清廉の
  取り計らい肝要たるべく事


一 水利を起こし土地を開き良木を植え付け物産を
  盛んにし永世村里の栄を計らうべく事
一 村内懇和善を勤め悪を誡め風儀宜しきに
  導く事村役人の勤め方に心得方宜しからず者
  有らば慇懃に教諭を加え行状改めせしめべく且つ又
  諸人に□心得宜しき者有らば逐一に申し出べく事
一 常々戸籍の取調べ怠らず村内に不審の者
 
  凶作飢歳の手当

柏崎県

小前末々迄→政府からの布達を受取内容を理解して村のすべての人々に伝える庄屋(戸長)の苦労が想われる。新しい西洋思想が取り入れられた明治という時代的な背景をを考えるとさぞかし大変であったであろう。

廉々

明治3年

   留め置きべからず事
一 凶作飢歳の手当怠りなく心配りを遂げるべき事
  右の通り相心得べきもの也
   明治三年午二月
    柏崎県
     御役所


 右お箇条の趣逸々有り難く拝承奉り候小前
 末々迄得と読み聞かせ仰せ渡らされ廉々固く
 相守り申すべく候これに依り村の庄屋連印を以って御受け
 一札差し上げ奉り候 以上
  明治三年庚午三月