備 考
落合集落の祭神は、伊弉冉尊(イザナミノミコト)であり例祭日 9月1日(現在-2005-は10月中旬に収穫祭として神事を行っている)
御神体は、とぐろを巻いた蛇を胸に抱いた仏像である。しかし、落合の神社の御堂は筆者が子どもの頃からなかった。境内の中央に石の台座をつくりその上の祠の中に御神体が祀られている。伝え聞いた話によれば、何度か火災などの災害に遭い再建を諦めたものということだ。この文書は弘化4年に再建を目指しての勧進帳であろう。
趣意書きに「大破再建いたし度」とあることから風害などにより大被害を受けたものであろう。寄付金集めに歩いていたのは近郷の村々であるが、旧暦正月であり降雪の多い時期であったため泊りがけであった事が分かる。
寄進の金額をみるに、弘化年間の1文は現在の30円相当と換算して見るに意外に少ない金額のようにも思われる。 |
しかし、地元石黒地内での寄進は。それなりの金額が集まったものであろう。
尚、本帳簿は、その一部を掲載したものであり、他に寺田村、諏訪峠村、小池村、蒲生村、儀明村、石畑村より寄付金を集めている。これらの村々の寄進の合計は1,773文となる。金貨で2分に満たない金額である。
1文を30円で換算するなら現在の5万3千円ほどになろうか。やはり、少額のようにも思われるが、当時の暮らしを知るなら納得のいく金額であるに相違ない。
また、この年3月には善光寺地震が起こり、石黒の大野村では甚大な被害が発生している。とはいえ、この帳面の日付が一月であることから神社の「大破」は地震との関連はないことが分かる。
ちなみに、帳面の裏表紙に「昭和32年正月、大橋長治、土蔵の本箱より見つけ出し参考のために大切に保存する」という書き込みが見られる。
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