ヤマツツジ
暮らしとの関わり
 ヤマツツジは石黒では普通に見られる。方言名は「クイバナ」と呼んだ。「食べられる花」という意味であろう。
 筆者が子供の頃〔1945前後〕は、よくこの花を採って食べた。花のみならず葉の虫えいまで食べた。しかし、レンゲツツジは「食べると舌が割れる」といわれ決して食べなかった。その他、筆者は、自宅の鉢植えのキリシマツツジも食べると舌が割れると祖母から言い聞かされていたがこちらの方の真偽のほどは定かでない。おそらく採って食べられることを防ぐ方便であったのであろう。
 石黒のヤマツツジを観察する限りでは、花の色には微妙な変化が見られる。とくに橙色が強いものと赤色の強いものに分けられるように思う。これは、個体によるものか生育地によるものかは分からない。
 ヤマツツジの多くは、山道沿いなどの斜面に見受けられる。高さ1〜3mといわれているが石黒ではほとんど斜面に沿って倒れたような状態のものが多い。これは、本種が日当たりを好むためであろう。
 手折ってみると木に粘りがなく折れやすい木質であることがわかる。そのせいか下の写真のように1mほどになることはきわめて希である。
 レンゲツツジほどではないが最近ヤマツツジも減少しているように思われる。
 ちなみに、石黒に自生するツツジではユキグニミツバツツジが最もよく見受けられる。

 昨日(2014.1.3)は、思いもかけない快晴に恵まれ昼飯持参で畔屋の山にでかけた。今日の観察撮影の主な課題はヤマツツジの冬の様子であった。
 春、花を撮影した場所に立っても、なかなかヤマツツジが見当たらない。よくよく見ると春に出た葉は落とし、夏に出た小形の葉をつぼみの周りに数枚残すのみで、しかも葉の色が赤味を帯びているため目だたないのであった。(下写真−半落葉の冬季の姿)
 
(写真2005.5.31大野)


              つぼみの頃

撮影日2004.6.10上石黒

            花期のヤマツツジ

撮影日2005.6.8寄合


               満開の花

撮影日2009.6.1寄合

    1mあまり立ち上がったヤマツツジ

撮影日2005.5.31大野

              群生

写真2016.5.25水上

          半落葉の冬季の姿
撮影日2014.1.3畔屋


解 説
ツツジ科
北海道から九州の各地の山地に自生する半落葉低木
 高さは1〜3m。若枝や葉には褐色の毛が密生している。
 葉は互生し楕円形で長さは3〜5p
(左下写真)。夏秋の葉は枝先に輪状につき越年する。(下写真)
 花期は5〜6月。枝先に2〜3個ずつ開く。花の直径は4〜5p。花の上面には濃紅色の斑点がある
(下写真)。 雄しべは5個、雌しべは1個。花の色は変化に富む。
 さく果には剛毛がある。種子散布は風媒型。
 名前の由来は、山に自生するツツジが種名となったと考えられる。



     つぼみのころ
撮影日2005.5.15落合

       開花期

写真2014.5.20畔屋

       花の特徴

撮影日2009.6.1寄合

       花冠裏
撮影日2009.6.1寄合

     雄しべと雌しべ

撮影日2009.6.1寄合

       ガクと枝の毛

撮影日2009.6.1寄合

        果実
撮影日2011.11.27大野

       種子

撮影日2011.11.27大野

      冬季の葉

撮影日2014.1.3畔屋