ユキグニミツバツツジ
暮らしとの関わり
 石黒では「イワツツジ」や「センヤノツツジ」と呼んだ。岩の露呈した崖などによく見られることから付けられた名前であろう。
 春、他のツツジよりも一足早く、紫かがった赤い花を開く。
 その多くは険しい地形に自生していて、子どもには簡単に手折ることのできないツツジであった。
 以前はサイコクミツバツツジと呼ばれていたが、1981年、山崎敬博士によりサイコクミツバツツジは花の色が青紫色であることなどから、本種をユキグニミツバツツジとして分け命名した。(参照・栃尾の植物)
 図鑑によれば葉には毛はないとするものがあるが、筆者の観察した限りでは若い葉は両面に毛が密生している。→下写真 
 石黒の寄合で撮影した種と、板畑上官山で撮影した種では、雄しべの数、葉や花柄の軟毛、花冠の色と斑紋等に若干の相違点があるように思われる。改めて比較観察してみたい。
 サイゴクミツバツツジとの区別点は葉裏の基部のみ毛があること、とされるが、石黒に自生するものには葉の表面にも長い毛がまばらに見られるようだ。
成長後は脱落する毛か、今後観察したい。(下写真参照)

(写真2005.5.16寄合)


           芽吹きの頃

写真2015.5.8下石黒

       つぼみの頃−ブナ林の縁

写真2008.5.16上石黒

      石黒では崖に多く見られる

写真2005.5.17寄合

撮影日2005.5.16寄合


            花のつくり

撮影日2015.5.16寄合

 よく花のついたユキグニミツバツツジ

撮影日2012.5.8板畑 城官山

  ※石黒では若葉表に毛がみられる

撮影日2008.5.18寄合


         葉裏基部の毛-1

写真2013.4.27畔屋林道


解 説
ツツジ科
 秋田県から島根県の日本海側に自生する落葉低木。 やや乾燥した地を好む。積雪期には地面に這うようにして越冬。→参考資料
 高さは1〜3m。樹皮は灰褐色。
 葉は広い菱形で枝先に三枚輪生し長さは4〜7p。葉縁は全縁
 花期は4〜5月。花は直径3〜4pで葉の開く前か同時に咲く。花の色は紫かがった赤。花の径は3.5〜4pの漏斗形、深く5裂する。雄しべは10本(ミツバツツジは5本)。
 果実はさく果
 名前の由来は葉が三枚輪生することと雪国に自生することによる。以前はサイゴクミツパツツジと同種とされていた。
サイゴクミツバツヅシとの違いは葉の裏の付け根付近のみに毛が生えることなど。



       葉の形

撮影日2005.5.21寄合

      つぼみの頃

撮影日2017.4.30下石黒

      つぼみ

写真2015.5.8下石黒

    雄しべと雌しべ

撮影日2005.5.16寄合

    葉裏の主脈基部の毛

撮影日2012.5.22下石黒

  葉の裏基部の毛-2
写真2013.4.27畔屋林道

 葉の表面の長い毛

写真2015.5.16寄合

     花-畔屋林道
写真2013.4.27畔屋林道
写真2015.5.16寄合