サルトリイバラ
暮らしとの関わり
 石黒では「サエカチエバラ」と呼んだ。サイカチの木の小枝にも鋭いトゲがあることからこう呼んだものであろうか。〔それにしてもサイカチは石黒では見かけない。実が石けんの代用になったことから昔は植えられていたのであろうか〕サルトリイバラは、林の縁などに普通に見られる。葉の中央に茶色の紋様があるものを時々見かける。→参考写真
 昔から、トコロヤマノイモ掘りの時など、やや鉤状になっているトゲが衣服に引っかかるので嫌われ者の植物であった。
 しかし、赤い実が7〜15個ほど集まって放射状に付く様は美しく、花のない冬には仏様に花に供えた。
 果実の結実は筆者の観察の限りではよくなく、石黒ではたくさんの実をつけた個体には、まれにしか出会わない。
 しかし、先日(2010.12.6)に市街地周辺の集落で、たわわに実をつけたサルトリイバラを見た。→参考画像
 果実は若芽とともに食用になると言われるが、太平洋戦争直後の食糧難時代に、多くの草や木の実を食べた石黒の子どもであった筆者は食べた記憶がない。
 葉は蝶のルリタテハの幼虫の食草であり、葉裏で過ごす幼虫が体を丸めた姿はサルトリイバラの花に似ているといわれる。
参考資料ビデオ→結実のよいサルトリイバラ YouTube
 上記のビデオを撮影したサルトリイバラの実が色づいた頃かと今日(2015.12.2)の午後出かけたが、場所が分からず遂に出会うことは出来なかった。農道から左手に入った小道の右側にあり、よもや忘れまいと思っていたのだが・・・・・。

(上写真2005.11.6寄合 右上2005.5.6上石黒 右下2004.12.3寄合)


              幼苗   
撮影日2007.5.16下石黒

               若芽

撮影日2007.4.28下石黒

        
初夏のサルトリイバラ

撮影日2009.5.24下石黒

                 新旧果実

写真 2018.5.22 小国

                結実良好

写真2015.9.29平井

                初秋のころ
写真2014.8.14畔屋

              落葉前の葉


写真2015.12.2平井


    
      冬のサルトリイバラ

撮影日2009.1.8板畑嶽


             雄花と雌花
お花 め花
2005.5.6下石黒 2009.5.17寄合

解 説
ユリ科
 日本全土の山地の明るい林の縁などに多く見られる。雌雄異株の落葉蔓植物。
 根茎は地中をはい肥大して不規則に曲がり堅く、まばらにひげ根を出す。
 茎は堅く、ジクザク状に節ごとに曲がり伸びる。長さ1.5〜3mほどでトゲがある。
 葉は丸く互生、円形で柄は短い。葉脈は3〜5脈があり網状脈となり(下写真)長さ3〜13p。丈夫で表面には艶がある。葉柄の下部には托葉があり先が巻きひげとなって他物に絡みつく(下写真)。
 花期は4〜5月。葉の付け根から花柄を伸ばして黄色の小花を多数散形花序に開く。花被は6片で反転する(左下写真)。雄花には雄しべが6個、雌花には雌しべが1個あり柱頭は3裂する(左下写真)。
 果実は5〜8oほどで赤く、10個前後集ってつく。中には黄褐色の堅い種子が入っている(下写真)。
 名前の由来は、木にはい上がるため猿がひっかかるという意味。



       芽吹き-1

写真2015.3.28畔屋

      芽吹き-2

写真2016.4.2畔屋

      芽吹き-3

写真2016.4.2畔屋

    サルトリイバラの若芽
 
写真2007.5.24大野

  サルトリイバラ未成熟実

写真2007.9.4大野

       果実と種子

写真2009.11.4下石黒

 葉柄の下部の対の巻きひげ

撮影日2009.11.30大野

     葉脈と網状脈

撮影日2011.6.18下石黒

   海岸のサルトリイバラ

撮影日2013.7.21裏浜海岸

         冬芽

  写真2015.1.26畔屋

   活花に使われた果実

写真2019.12.10松美町