ロウバイ (植栽)
暮らしとの関わり
 故郷石黒でロウバイに出会ったことはない。市街地でも庭木としてはごく稀な木である。
 昨日(2017.2.22)は、気温はそれほど上がらなかったが、晴れ間がひろがり春を思わせる陽気となった。
 数日前に妻から聞いていた、この時期に満開の
黄色い花のをつけた木があるという家を訪ねてみるとロウバイであった。庭の道路に面したところにに、高さ3mほどの木が3、4本株立に生えていた。
 花を2、3個もらって帰り、観察すると花冠のつくりに特徴のあることを知った。外側の鱗片花被片は多数ある(上左写真)。中間には黄色の半透明で艶やかで最も大きい花被がある。そして内側の花被は暗紫色で白い縦じま紋様がある(下写真)。
 暗紫色はハエが好む色と言われている。ミツバチもすでに活動を始めているであろうが越冬するハエの訪花も求めているのかもしれない。
 →ビデオ資料3mの残雪の中で活動開始したミツバチ
 持ち帰った花を座敷で丁寧に分解していると当たりにいい香りが漂うことに気が付いた。
 80歳を過ぎ、老化とともに衰えている筆者の嗅覚にも、これほどに感受されるロウバイの芳香は相当強いものであろうと感心した。恐らく冬の昆虫の少ない時期に咲く花は、これくらい強い香りを発しないと花粉媒介者を呼び寄せることができないのかも知れない。ウメやビワなどの花も同様だ。今後も続けて葉や果実の様子を観察させてもらうつもりだ。
 我家の庭にも一株植えたいとも思ったが、株立ちして樹形が乱れ管理に手間を要する樹木でもあるようにも思われ、迷っているところである。
 先刻(2017.2.27)知り合いのSさんが電話で「家にあるロウバイはソシンロウバイと名前で内側の花被の色が黄色である」と教えてくださった。(※Sさんは一年前のことを憶えていてくださり、この度は、わざわざ開花したソシンロウバイ一枝を届けてくださった。確かに、淡褐色の内花被は見られない)
 園芸種には、このほかマンゲツロウバイ、トウロウバイ、クロバナロウバイなどがあるようだ。
 ちなみに、ロウバイの果実には強い毒があるとのことで、食べると最悪の場合は死にいたる事もあるとのこと。果実は、熟した桃の色をしているので、子どもが食べることを怖れて庭木としての植栽が少ないのかも知れない。1945年の太平洋戦争敗戦のころに少年時代を過ごし、様々な草木の実を試しに食した筆者の思い過ごしであろうか。
 このところ、比較的穏やかな陽気が続いたが、今日(2018.12.24)夕方から急に気温が下がった。年賀状投函の帰り道、四谷のロウバイの庭木を訪ねると、すでに3分咲きという所であった。(下写真)
 今年(2019)は大寒に入っても穏やかな陽気が続いている。今日、約一月ぶりに四谷のロウバイの庭木を訪れると、今まさに満開であった。樹の下に立ってスマホを向けると心地良い芳香に包まれた。今年は、じっくりと観察してみたが、花期が実に長い。まさに冬の百日紅ならぬ「百日黄」と言いたいくらいだ。→画像

 写真2017.2.22長浜町

                幹の様子
  若木・成熟木の幹7   老木の幹
 
  写真2017.3.4 長浜町

              つぼみから開花へ

写真2018.1.4長浜町

写真2018.12.24長浜町

写真2019.1.23長浜町
写真2019.2.11長浜町
               花期の様子
  写真2017.2.22長浜町
                花-拡大

写真2018.1.11長浜町

          外側の片、内側の片、中間の片
  写真2017.2.22長浜町

       雌性期雄性期の花冠の様子
  写真2017.2.22長浜町

       ソシンロウバイの花(Sさん提供)


写真 2018.2.14 西本町

           花期の後の芽吹き葉の
写真 2017.4.20 長浜町

                 果実期

写真2017.6.15長浜町

              株立ちする幹

写真2017.6.15長浜町

               果実の様子


写真2017.7.10 長浜町


解 説
ロウバイ科
 1600年代前半に朝鮮半島から渡来した中国原産の落葉低木。観賞用として普通に植栽されている。

幹は株立になり枝を分け高さ2〜4m。
 葉は有柄で対生し卵形で先端は鋭くとがる。長さ15pほどで質は薄くやや硬くざらつく。
 花期は1〜2月で、葉が現れる前に枝の節に下向きに付き開花する。花には芳香がある。花径は約2p。花には、多数の花被片がある。これらの花被片のうち、内側の片は暗紫色。中間の片は黄色で大きく薄く光沢がある。外側の片は多数の鱗片となる。(左下写真)雄しべは5〜6個、雌しべは多数あり柱頭は分岐しない。雌性期雄性期をずらせて自家受粉を避ける。(左下写真)
 果実は長卵形の偽果となり内部に1〜4個の暗褐色、長楕円形のそう果がある。果実は有毒。
 名前の由来は、蝋月(陰暦12月)に梅に似た香りのする花をつけることによる等の説がある。



    株立ちの幹の様子

写真2017.2.22長浜町

    つほみの様子-1

写真2017.1.12長浜町
写真2017.1.19長浜町
写真2020.1.6長浜町

    つぼみから開花へ

写真2020.1.6長浜町


写真2018.1.5長浜町

        外片
写真2017.2.22長浜町

        花冠
写真2017.2.22長浜町

       早い開花

撮影 2019.12.21長浜町
     
      多数の雌しべ
写真2017.2.22長浜町

   花冠の断面(雄性期)
写真2017.2.22長浜町

 寒さの中を割き続ける花

写真 2019.2.11長浜町

     花期の終期
写真2017.3.4長浜町

       葉の様子

写真2017.5.12長浜町

        幼果
写真2017.5.12長浜町

      果実と種子

写真2017.6.15長浜町

     果実の大きさ
写真2017.6.15長浜町

     種子の様子
写真2017.7.10長浜町

     種子と大きさ

2017.7.14 長浜町