ナツグミ
暮らしとの関わり
 石黒では昔から田のクロ〔畔〕などに生えていた。おそらく植えたものであろう。ちょうど田植えの頃に果実が赤く熟すので「タウエグミ」とよんでいた。※アキグミは「イネカリグミ」と呼んだ・
 筆者が5、6歳のころ〔昭和18年頃〕であろうか、母が、赤く熟したグミの実を大きなフキの葉に包んで持ち帰ってくれたことをよく憶えている。余ほどうれしかったのか鮮明に思い出すことのできる幼児期の数少ない記憶の一つである。
 その場所は城山のふもとの我が家の田場所東側の石黒川の近くであった。沢辺の斜面に、のめった状態で生えていて根元から先端までの長さは2m以上あったように思う。小学生時代は毎年とって食べた。アキグミ同様に野生のものではないのでカキやクリ同様、他家の子どもが採って食べることはなかった。
 アキグミに比べて酸味と渋味が多いが果実は大きく、果肉のとろりとした感触がよく、子どもにとっては魅力的な果実であったであろう。
 石黒に見られるものがナツグミかトウグミかは、未だ詳しく調べていないが、1981刊の「柏崎の植物」には「ナツグミ」の掲載が数カ所に見られるのでナツグミとして掲載した。
 今後、細部を観察して確認したいと思う。
 ちなみに、山本敏夫著の「新潟県樹木図鑑」、及び柏崎植物友の会編の「柏崎・刈羽の樹木」にはナツグミ、トウグミのどちらも掲載されていない。
 今日〔2014.6.25〕市街地周辺で、栽植したものであろうが驚くほどたわわに見のついたナツグミに出会った。→参考写真

〔写真2007.6.16 下石黒〕


       田のクロに赤く色づくナツグミ
写真2014.6.15 下石黒
解 説
グミ科
 本州中部以西、四国の山地に自生する落葉低木日本固有種
 高さ2〜4m、樹皮は褐色で老木では縦に不規則に剥がれ落ちる。春に淡黄褐色の花を葉腋に比較的多くつける。
 花はやや下垂し、基部は筒型で先端に4枚のガク片がつき4裂しているように見える。花径は1p。
 葉は互生し、葉先が鋭く尖った広楕円形で幅4p前後、長さ3〜10pほどで葉の縁はやや波打ち全縁。葉の表面にはじめ灰白色の鱗片があり、葉裏には銀色のうろこ状の毛が密生する。 
 花期は4〜5月。葉のつけ根に数個の花が垂れ下がってつく。ガク筒の長さは7〜8mm。
 果実は両端が丸い円筒形で長さ1.5p前後。初夏に赤く熟して食べられる。
 似た種にトウグミがあるが区別は難しい。




      葉の表裏
写真2014.6.15 下石黒

     茎と果実と葉
写真2014.6.15 下石黒