アキグミ
暮らしとの関わり
 石黒ではナワシログミのことを「タウエグイミ」、このアキグミのことを「イネカリグイミ」と呼んだ。〔「グミ」はもともと「グイミ→トゲの多い木になる実の意味だという−牧野植物図鑑〕
 野生のものは滅多に見られず、大方は家の近くや畑の脇に植えたものであった。
 子どもは、透き通るほどに熟すのが待ちきれず取って食べた。よく熟すと、甘味が出てタウエグミより渋みもなく美味しくなった。
 村の周りの道ばたに半ば野生のように生えている木があちこちにあり、自分の家に植えてない子どもも毎年この味にありつくことが出来た。
 筆者の家にも、下隣の家から上る小道の脇に一本植えられていた。
 また、小学生のころに川谷(上越市吉川区)に遠足に行った帰り道に、上石黒集落の入り口で友達と争うようにしてアキグミを採って食べた記憶があるが場所は定かではない。
 〔筆者の高校生の頃は、柏崎の裏浜には多く自生していたが、その後は激減して今〔2009〕では稀にしか見かけない〕
 ハマグミと呼ばれる柏崎海岸のアキグミと石黒のアキグミは同種であろうが、浜の個体は、葉の白色が濃く、果実表面の点々が大きく、採取時期にもよるであろうが、渋みが若干強いように思われるがいかがであろうか。
 今日〔2013.5.18〕の朝、市街地の海岸では3m余の大木のハマグミ〔アキグミ〕出会った。青空に映えるグミの花を初めて美しいと感じた。→参考画像

 (写真上・右下2005.9.23寄合 右上2005.6.3寄合)


            アキグミの花

写真2007.5.18大野

    葉や花に見られる星状鱗片

写真2009.5.8寄合

          アキグミの実

写真2005.9.23寄合


             海岸の個体

写真2012.9.2荒浜海岸

           互生する葉

写真2013.6.18裏浜海岸

                果実期

写真2012.10.14荒浜海岸

           結実の良い木

写真2015.11.1裏浜公園に植栽されたもの
解 説
グミ科
 本州から沖縄まで分布する落葉低木
 幹は直立してよく枝分かれし高さ2〜3mになる。
 葉は互生し長4〜8p。銀白色で細かい点々(星状鱗片)が見られる(左下写真)
 初夏に新枝の葉のつけ根から小枝を出し数個の花を集めてつける。ガクは短い柄をもち6oほどの筒状で4裂して花弁のようにみえるが花弁はない〔左下写真〕。 
 花は初め白色であるが後に黄色に変わり一面に白銀色の鱗片に覆われる。雄しべ4個、雌しべ1個、子房ガクの底部にある。
 秋になると赤い果実がかたまってつく。果実は径6〜8oで表面にも点々があり、液果で甘酸っぱく美味しい〔下写真〕
 名前の由来は果実が食用となるナツグミに対してつけられたもの。



     果実と種子

2009.10.12寄合

    つぼみ〜花〜果実


写真2007.5.18大野

    未熟〜成熟期の果実

写真2012.9.12荒浜

写真2012.10.3荒浜

写真2012.10.14荒浜

       虫えい
写真2013.9.9裏浜

        樹皮

写真2007.5.18大野

    アキグミの大木
写真2013.5.18裏海岸

     果実期

2015.11.1裏浜植栽