イスカ 
   
 
暮らしとの関わり
 この鳥との再会があると考えたことはない。冬鳥であるが、毎年定期的に渡って来る鳥ではない。柏崎に限らず、何年にあるいは何10年に1回渡って来る鳥のためだ。時には、春になっても越冬地に残り繁殖するイスカもいるという。柏崎で前回見られたのは1969年だから今から半世紀以上前である。場所は、現在のさざなみ学園や松風の里などがあるあたりである。当時は、人家の少ない松林であった。そこに突然この鳥がやってきた。

 「イスカの嘴の食い違い」の言葉のあるとおり、クチバシが左右に食い違っている。このクチバシを使い、まつぼっくりからマツの種を器用に取り出し食べる。進化の妙を感じる鳥である。大きさはムクドリくらいでふっくらとした鳥である。雄は鮮紅色だが、雌は褐色の地味な色である。

 当時、山階鳥類研究所が行っていた鳥類標識調査を我々地元柏崎の鳥好きもお手伝いした。1969年の新潟県におけるイスカの標識数は約600羽だが、全部が柏崎での記録である。前出の嘴の食い違いであるが、イスカのクチバシは上が右で下が左のタイプと、逆の上が左で下が右のタイプの2つがあった。この2つのタイプに差があるのか調べてみた。任意に選んだ数10の結果は、6:4であった。ほぼ半々であったと考えていいと思う。

 今回は、鯨波林道で観察できた。雨が降ってきたため写真は今一であるが、イスカとはっきり識別できる写真は撮れた。雄雌4羽ずついた。鯨波林道を最初に歩いた時に、他の柏崎近郊の林道より松が多いと感じていた。松林ができるほどではなく散在しているが、マツの数は多い。そのせいばかりでないと思うが、彼らには餌があると分かったのだろう。半世紀前に来た松林の面積は減っているが、未だ残っている。当時のまま、現在の東電柏崎刈羽原子力発電所のある松林に続いている。いずれそちらに行くのか、はたまた鯨波林道は一時滞在でもっと冬越しに適した地域に行くのかは分からない。(情報提供−長谷川)
写真 2017.11.18 市内 長谷川

        小さに群れをつくっている様子


写真 2017.11.18 市内 長谷川

解 説
アトリ科
 日本には冬鳥として渡来する。少数だが北海道や本州の山地で繁殖すものがある。
 全長17〜18.5p、スズメよりやや大きく、翼長はおよそ9.5p。体の特徴としてはくちばしが左右互い違いになっていることである(上写真)、孵化直後のヒナは普通のくちばしであるが1〜2週間のころに交差するといわれている。交差する上下のくちばしに左右のきまりはないが、ほぼ半々であるようだ。(長谷川さん提供の左掲載情報を参照)
 体のわりにはくちばしは大きい。
 オスは全身暗赤色で翼と尾は暗褐色。メスは灰色がかった黄緑色。(左上写真左がオス、右がメス)主に針葉樹の中で生活する。繁殖期以外は数羽〜10羽の群れで行動する。
 餌は樹木の種子や昆虫。とくにマツの種子を好む。松かさから種子を取り出すときに交差したくちばしが機能するらしい。
 名前の由来は、「ねじれている」ということを意味する古語「いすかし」による。




        繁殖地

制作-編集会