ヒシクイ
 
 
 
 
暮らしとの関わり
 10月頃にシベリアからやって来る大型のガンカモの仲間の冬鳥である。ハクチョウに次ぐ大きさで見ごたえのする鳥である。
 新潟県の下越地域や上越地域はこのヒシクイの越冬地として日本国内でよく知られている。下越地域は福島潟や佐潟、鳥屋野潟など多くの大きい池沼があり、それらに合わせて数1,000羽が越冬している。
 上越地域にも頸城平野に頸城大池や朝日池など多数の大きな池沼があり、そこに1,000羽くらいやって来る。それらに挟まれた柏崎地域でこの鳥を見ることは少ない。
 ヒシクイは、昼は刈り終えた田圃などで餌を採り、夜間は前出の池沼などで休む。大きな池や広い田圃が必要な鳥である。柏崎でもかつては中通りなどで狩猟された記録があるが、現在は非狩猟鳥であり、国際的にも保護されている鳥である。
 今回は、刈羽の田圃に4羽が降りた。頸城平野に行く途中の家族群が一休みしていたものと思う。この家族群の近くに同じ仲間のマガンが1羽降りた。本来群れで行動する鳥で、時に数種が群れを作ることもある。大きな群れからはぐれた者同士が刈羽の田圃で一緒になったのであろう。
 広い田圃と水面の必要な鳥であり、石黒で見ることはないと思う。(情報提供-長谷川)
  WEB上で調べると、開発によって、生息地や食物の減少、さらに乱獲により生息数は減少したため、日本では1971年から国の天然記念物に指定されているとのことである。
 また、ヒシクイは、番(つがい)関係を一方が死ぬまで継続するといわれている。雌雄同色の大型の鳥は大抵がそうであるといわれている。
 筆者は、未だヒシクイとは出会ったことはないが野草のヒシの頁を作ったときに、この鋭いトゲをもった果実を食べるヒシクイとはどんな鳥であるか知りたかった。今、WEB上で調べるに、ヒシクイはヒシの実をを水底から拾い上げてクチバシの中で転がしてトゲを取り去り飲み込み砂嚢で消化するとのこと。砂嚢にはその名のとおり砂や小石などが飲み込まれているとのことであった。また、歯も「齧り取り型」に特(鋸歯状突起を備えた舌と下嘴)を持っているということだ。
 ちなみに、子どもの頃(1945-)石黒の生家では十数羽のニワトリを飼っていたが、時々、茶わんなどの瀬戸物の欠けたものを金づちで細かく砕いて与えるのが子どもの仕事であった。少し長い間を置いて与えた時には狂乱状態で寄ってきて食べたものが、今にして思うと彼らにとっては生死にかかわるほど大切な働きをするものであったことがわかる。また、その瀬戸物の鋭い砕片が後日、角のないすり減った形で糞に混ざって出てくる様にも目を疑う思いであった。

写真2018.2.3 柏崎市 長谷川

ビデオ資料→ヒシクイ

             草むらの中で
写真2018.2.3 柏崎市 長谷川

            番(つがい)であろう
写真2018.2.3 柏崎市 長谷川


解 説
カモ科
 繁殖地はユーラシア大陸北部。 日本では冬鳥で、宮城・秋田・新潟・茨城・滋賀・島根などに毎年渡来・越冬する。
 雌雄同色。全長78-100センチメートル。翼開張142-175センチメートル。頸部は長い。
 上面の羽衣は羽毛の外縁が淡色の暗褐色、体下面の羽衣は白い。尾羽基部を被う羽毛は白い。尾羽は黒く、外側尾羽や先端が白い。足は短め。
 嘴の色彩は黒く、先端にオレンジやピンクの帯模様が入る。
幼鳥は雨覆の羽縁が白い。後肢の色彩はピンク色。
 湖沼、池、湿原、河川、水田、海岸などに生息する。夜間は大きな水場の中央に集まり休む。
 食性は植物食で、草、茎、根、果実、種子などを食べる。
 鳴き声は「グワン グワン」と聞こえる。
 名前の由来はヒシの果実を食べることにによる。


     ヒシクイの渡り図

  編集会

     飛翔の姿
写真2018.2.3 柏崎市 長谷川

    番(つがい)であろう
写真2018.2.3 柏崎市 長谷川