ゴイサギ 
   
暮らしとの関わり
 初夏から初秋にかけて、柏崎の夜にこの鳥が飛びながら鳴く。かつては夜間、何回もその声を聞いたが、最近は聞こえても1回か2回だ。聞く声が少なくなった。柏崎では夏鳥だ。
 柏崎にはアオサギのコロニーが横山にある。そこにダイサギも入り繁殖しているが、ゴイサギはコロニーにはいない。それではこのゴイサギたちは何のために柏崎にいるのだろうか。残念ながら答えは持っていない。
 写真の鳥は白っぽい色彩からして成鳥と思うが、繁殖年齢には達していない亜成鳥なのかもしれない。
 また、前出のとおり夜行性のサギだ。写真のゴイサギは、昼間、水辺に突き出た葉の広がる低い広葉樹で何をしていたのだろうか。餌採りでなければ休息ということになりそうだ。隠れて魚を狙いながら休んでいるのかもしれない。
 1980年代の初夏の夕方、田圃の上を白いコサギと黒っぽいこのゴイサギのそれぞれ20羽くらいの群れがすれ違っていた。コサギは海のある西から山のある東へ、そしてゴイサギは逆に東から西へだ。コサギは塒(ねぐら)へ、ゴイサギは餌場へそれぞれ向かっていたのだろう。この2種とも繁殖していたのかもしれないが、繁殖コロニーは結局見つかっていない。もっと探すべきだったのかもしれない。(情報提供-長谷川)
 石黒では今ではアオサギは普通に見られる(「今では」と書くのは筆者の子どもの頃にはアオサギもいなかった)が、筆者はゴイサギには出会ったことはない。
 ただし。上記に書かれているように夜に飛翔しながら「グワー、グワー」と鳴く鳥には、ここ20年内に何度が出会ったことはある。暗い夜に聞くと少し気味の悪いものであったことを憶えている。ゴイサギの英名はnight=夜であり、夜行性であるというから、ゴイサギであったかもしれない。だが、WEB上で調べてみるとアオサギも夜間に活動することもあるとのことであり、当時から石黒でも見られるようになったアオサギであった可能性が高いかな、と思っている。



解 説
サギ科
日本では夏季に北海道に飛来する夏鳥だが、本州以南に周年生息する留鳥であ。また、冬季に南下する個体もいる。
全長58-65cm。翼開長105-112cm。体の上面は青みがかった暗灰色、下面は白い羽毛で翼の色彩は灰色。
 虹彩は黄色がかったオレンジ色(写真上左)。眼先は羽毛が無く、青みがかった灰色の皮膚が露出する。嘴の色彩は黒い。後肢の色彩は黄色(上左写真)。繁殖期には後頭に白い羽毛が3本伸長(冠羽)し、後肢の色彩が赤みを帯びる。
 幼鳥は上面が褐色の羽毛で被われ、黄褐色の斑点が入る。下面は汚白色の羽毛で被われる。
 河川、湖、池沼、湿原、水田、海岸などに生息する。単独もしくは小規模な群れを作って生活する。
 夜行性で、昼間は水面に張出した樹上などで休んでいる。
 夜間、飛翔中に「クワッ」とカラスのような大きな声で鳴くことから「夜カラス」と呼ぶ地方があるという。
 名前の由来は、平家物語にあり、後醍醐天皇が御所の池に来たサギを従者に捕獲させようとされたが中々捕まらない。そこで、従者が、「これは勅命であるぞ」と言うと素直に命令に従って捕まった。それを見た天皇は大変感心されて、サギに五位の官位を授けられたという話に依るといわている。。