ジャノヒゲ | ||
暮らしとのかかわり 石黒には稀にしか見られないが、市街地周辺の野山では普通に見られる。 昔から家の周りに植えられ小路の縁などに見事に植えられたものに出会い、思わず立ち止まって眺めることもある。地味であるが一年中を通じて整った草姿が乱れないところにこの草の持ち味がある。 また、日陰でもよく育ち、水不足にも強い。とくに旱魃に強いのはひげ根の途中のふくらみの中に水分を溜めておくことによるものと思っているが、いまだ専門家の解説で確認していない。(このふくらみが薬用となることは知られている) 花は、小さく地味であるが群青色の種子は実に美しい。葉を分けて探さないと見つからないほどだから鳥に種子散布を頼む必要もないのであろう。もっとも、果実ではなく種子であり、果肉がないので鳥にとってはあまり魅力がないとも思われる。 筆者は、20年ほど前に数株を石黒に移植したところ、よく育ったが、冬期になるとノウサギにすべての葉の根元まで食べられてしまって現在では一株も残っていない。数回にわたり移植したが同様な結果に終わった。 ちなみに、市街地周辺で観察すると葉の丈の長い(20〜40p)ものと短い(10〜15p)のものがあるように思うが、別種であろうか。「ナガバジャノヒケ」の名称もWEB上に見られるようだが詳しい方の御指導を仰ぎたい。 ここ数年、花の写真の撮影時期を逃し掲載できないでいるのを見かねて福島の洋子さんが数回にわたってつぼみからの画像を送ってくださった。果実の写真も昨年送ってくださったものである。 資料 ジャノヒゲの実との出会い 写真2007.10.1 矢田 右上(上)平井 (下)鯨波 畑の境に植えられたジャノヒゲ 写真2015.2.22軽井川 土止めとして植えられたジャノヒゲ 写真2019.1.12西山町 花期 写真2016.7.20 (※福島県伊達郡伊達町) 洋子 果実 写真2016.2.15 ※福島県伊達郡 撮影大橋洋子
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解 説 ユリ科 北海道から九州に広く分布する常緑性の多年草。山林の常緑・落葉樹林の林床、または道端などにも見られる。 地下茎がありこれで群落を形成する。根茎からひげ根が多く出て所々が紡錘形に膨れている。 葉は暗緑色、鈍頭で細く長さ10〜30p、幅2〜3mm。質は強靭であるが柔らかい。 花期は7〜8月。葉の中に隠れるように5〜10pの花穂を出して白〜淡紫色の花をつける。花被は6個で平開し雄しべは6個、花糸は短くヤクは長い。子房は半下位で3個で3つに分かれた花頭をもつ。 果実(実は種子-果皮が発達せずに破れたもの)は、葉の中に隠れるようにして成熟し、緑色から冬には濃青色の美しい色に変わる。根は漢方薬に用いられる。 名前の由来は線形の緑色の葉を流のヒゲにたとえたもの。 葉の短い個体 写真2014.2.3田塚 花序 写真2016.7.18(※福島県)洋子 果実-2 写真2016.2.14※福島県伊達郡 |