ザクロソウ
暮らしとの関わり
 一見、か弱く可愛らしい草姿であるが、畑や庭に生える雑草として知られる。春から秋までダラダラと発生する嫌われ者である。夏の日照り続きにも非常に強い。しかし、雑草ではあるが小型であり茎の基部から四方に地面に面して広がるため取り除きやすい。
 ところで、名前の由来は葉がザクロに似ていることによるといわれるが、それほど似ているとも思われない。筆者の見る限りではむしろ、果実が開き中の赤い種子が露わになった状態の様子がザクロの果実に似ている。だが非常に小さいので普通、人目につかないので名前の由来とは考えられない。
 ザクロソウの花が今までなかなか撮れなかったが、今朝(2012.9.15)、石黒の庭で初めて撮った。どうやら、昼前には花弁(ガク片)は散り落ちてしまうようだ。
 昨日(2021.7.29)市街地周辺の歩道でクルマバザクロソウに出会った。ザクロソウに酷似するが花序のつき方に明瞭な相違点がみられる。→(クルマバザクロソウ−花序の相違点)

〔写真2006.8.8下石黒 敷石の隙間に生えた個体〕


               全体の姿

写真2010.8.10下石黒

              群生

写真2007.9.3 寄合

          稜のある茎

 写真2006.8.8下石黒

        葉の基部の針形の托葉

 写真2006.8.8下石黒


解 説
ザクロソウ科
 本州から九州の畑や道端に生える一年草
 茎は細くて稜があり〔左下写真〕、褐緑色をしている。高さは10〜20pで根元からよく枝分かれして広がる。
 葉は大小不同で基部には針形の微細な托葉があり(左下写真)、3〜5枚輪生状〔偽輪生〕につく〔左下写真〕。  
 根葉は3〜5個が輪状に出て倒卵形もしくは長楕円形。茎葉は皮針形あるいは線状皮針形で両端がとがり鋸歯はなく長さ1〜3cmほどである。
 花期は7〜10月。黄褐色の小さな花をつける。花の柄は糸状で花弁はなく5個のガク片が花弁のように見える〔下写真〕。長さ2mm以内。おしべは3〜5個で子房は上位で短い3個の花柱がある。
 さく果は楕円形で宿存ガクよりわずかに長く多数の種子を入れて熟すと3片に裂けて腎臓形の種子(下写真)を散布する。
 名前の由来は葉の様子がザクロにやや似ていることによる。



         花

写真2012.9.15下石黒

    果実(未熟と成熟)


 写真2012.9.15下石黒

        種子
写真2012.9.15下石黒