クルマバザクロソウ
 
 
 ザクロソウは子どもの頃から見慣れた野草である。お盆前の庭の草取りで出会った野草であった。筆者の記憶ではザクロソウは庭の雑草としてはそれほど厄介な草ではなかった。茎の根元から分岐し地面に張りつくように広がっているので取り除くことが容易であった。
 さて、本種クルマバザクロソウは、今までも市街地周辺の道路でよく見かけたがザクロソウと思い込んで本サイトに掲載することなく今日に至った。今朝(2021.7.29)、散歩の帰り道に大型衣料店の駐車場の周囲の縁面に植えられたシバの中の数株が目を引いたので撮影して帰った。その中の一枚をザクロソウの頁に加えてみると、ザクロソウに酷似するが下記の相違点があることに気が付いた。
①花が葉のつけ根にかたまって付いている。※ザクロソウは葉のつけ根から長い花柄(花茎というべきか)を伸ばして付く。
        花クルマバザクロソウとザクロソウの花序の相違点
 クルマバザクロソウ  ザクロソウ
   
②輪生する葉の数が4~6個と多い。(ザクロソウは3~4個)
➂葉の幅がやや狭い。(個体差もあるようだが・・・。)
 筆者にとっては有難い出会いと発見であった。牧野図鑑によれば帰化植物として最初に発見されたのが新潟県の海岸であったとのことも興味深い。筆者の観察では開花は午前中、それも10時ころには閉じてしまうようだ(松美町の個体での観察による)。
 ちなみに、市街地の歩道などに見られる個体には全体が非常に小形のものが見られる。(右下写真)

写真2021.7.29 新田畑


            サジ状の根生葉
写真2021.7.31 新田畑

            葉と花のつき方

   写真2021.7.31 新田畑

           果実期の様子

写真2021.7.29 新田畑


解 説
ザクロソウ科
 畑、道端、庭などに生える一年草。アメリカ原産の帰化植物。江戸時代末に新潟県の海岸で発見された。現在では全国で見られる。
 茎は無毛で下部から分岐し、長さ10〜25cm。枝は開出し地面につく。
 葉は4〜7個が輪生し、さじ形または倒披針形で円頭またはやや尖り長さ15〜27mm。 
 花期は7月から9月。花は葉腋から花茎を立てて先端につく。ガク片は5個で長楕円形で3脈がある。雄しべは3~5個。は楕円形で2室。子房は1個。花柱は3個で短い。開花は午前中。
 さく果は楕円形、長さ3mm。種子は卵形、茶褐色で光沢があり、長さ0.4mmほど。
 酷似するザはクロソウは、集散花序をつけることで区別できる。
 名前の由来は葉が車輪状に輪生することによる。



    花期から果実期へ
写真2021.8.25 新田畑

雌しべに張り付くようにつく雄しべ
写真2021.7.29 新田畑

        種子


写真2021.7.29 新田畑

  全体が小型な個体
写真2021.7.31 新田畑