ヤナギタデ
暮らしとの関わり
 子どもの頃は、タデと言えば道端に普通に見られる「イヌタデ」であった。このイヌタデに比べてヤナギタデは、花穂の花もまばらなうえに、色も冴えないせいか記憶にない。
 見た目は、ヤナギタデの方を「犬タデ」と呼びたいほど冴えない草姿であるが、実用面からいえばヤナギタデは別名、「本タデ」あるいは「真ダテ」と呼ばれるように本物のタデで昔から食材として使われたものである。
 石黒では昭和初期の頃まで、採ってタデ味噌などにして食べたものだと聞いている。〔現在、料理屋などで食材として使われているものは、栽培種であろう。〕
 「タデ食う虫も好きずき」のタデは、このヤナギタデのことで実際に噛んでみると非常に辛い。
 資料→タデ味噌の思い出

写真2007.10.2 落合


               花期

写真2009.10.2 大野
               垂れる穂先
写真2007.10.2 落合

                群生
写真2007.10.2 落合

   葉上の細かい腺点と縁の短毛

写真2007.10.2 落合

解 説
タデ科
 田や河川のほとりや湿地などに生える一年草であるが、ときには田のなかにあって越年して春早く開花することもある。
 茎の高さは40〜70p。直立して枝を出す。
 葉は短い柄があり互生し細く両端がとがり無毛か中脈と縁に短毛があり、細かい腺点がある〔左下写真〕。噛むとからい。
 鞘形の托葉の縁には毛が並んで生えている〔下写真〕
 花期は7〜10月。枝先に穂状の花穂を出し、わずかに紅色を帯びる宿存ガクをつけた小花をややまばらにつけ穂先は垂れる。
 ガク片は4〜5裂し黄緑色で先は紅味を帯びる。長さ2〜3o、細かな腺点がある〔上写真〕。花弁はない。雄しべ6個、子房は楕円形で花柱は2個ある。
 そう果は卵形または楕円形で点状の隆起があり暗褐色で長さ2.5〜3.5o。
 名前の由来は葉がヤナギの葉に似ていることによる。



     葉形と表裏
写真2007.10.2 落合


     托葉と縁の毛

写真2007.10.2 落合

     つぼみと腺点
写真2009.10.5下石黒