ヤクシソウ | |
暮らしとの関わり ヤクシソウは、石黒では普通に見られる植物で、主に道ばたに生えていた。子どもの頃はハナニガナと一緒にして「チチグサ」と呼んだ。 ウサギの餌にするため手折るととハナニガナ同様白い汁が出た。しかし、子どもの目にも、ハナニガナより、ウサギの餌としては劣るような感じがした。ハナニガナに比べウサギが好んで食べる葉の部分がが少なかったせいでであろう。 また、花期が終わって閉じたおびただしい花が下を向いてぶら下がっていた〔左上写真〕印象は今も残っている。 名前の由来については諸説があり、ヤクシソウの薬草としての優れた効能に由来するとの説が有力と聞くが、花柄を抱く葉を仏像の光背と見立てた(右下写真)とする説も捨てがたい。「草木国土悉皆成仏-草木や大地のように心をもたないものでさえ、ことごとく仏性がある」という言葉を自分なりにせよ理解できる歳となった筆者にはその思いは一層である。 (写真上・右下2004.10.7寄合 右上2005.9.10上石黒) 花の終わる頃のヤクシソウ 撮影2007.10.20板畑 嶽 花冠拡大と舌状花 撮影2009.10.14大野 斜面に咲くヤクシソウと秋空 撮影2009.10.14大野 根 撮影2009.10.14大野 紅葉したヤクシソウ 撮影2009.10.14大野 ヤクシソウ(二年草)の秋に生えた幼苗−1 撮影2007.10.18大野 |
解 説 キク科 日本全土の日当たりの良い草地や道端に多く生える二年草。 茎は直立し、よく枝分かれし高さ30〜100p。切ると白乳液を出す。全株に毛はない。 葉は根生葉はかたまってつき、サジ形で長い柄があるが花期には枯れる。 茎生葉は互生し柄がなく耳状となり茎を抱くようにつく〔下写真〕。 葉の形は長楕円形で縁には低い鋸歯がある。質は薄く柔らかで裏面はやや白色を帯びる。長さは5〜10p、幅2〜5p。秋には赤く紅葉したものも見かける(左下写真)。 花期は8〜11月。上部の葉のつけ根から出た枝上に散房状に多数の頭状花をつける。頭状花の直径は1.5pで花期が終わると花弁を閉じた状態で下を向きぶら下がる〔上写真〕。 花実期には黒緑色の総包に包まれた純白の冠毛がよく目立つ〔下写真〕。 名前の由来は茎を抱く葉の形が薬師如来の後背に似る(左下写真)ことによるという説があるが、牧野植物図鑑には不明とある。 白色を帯びる葉の裏面 撮影2009.10.12下石黒 幼苗−2 撮影2011.6.25上石黒 ヤクシソウ種子と冠毛 撮影2008.10.29寄合 撮影2008.11.4寄合 茎の断面と白乳液 撮影2009.10.14大野 茎を抱く葉 撮影2009.10.12上石黒 ※薬師如来像〔上画像を参考に〕 |