イタドリ
暮らしとの関わり
 石黒では、「スッカンポ」と呼んだ。酸っぱい棒(若芽)、あるいは、最後の「ポ」は折った時の音「ポン」からきたものであろうか。
 春先に、道端や野山にニョキニョキと大きな芽を出してぐんぐん伸びる。〔上写真〕子どもたちは、それを折って皮をむいて食べた。山遊びでのどが渇いたときには、節に溜まった水を飲んだりした。
 石黒では、山菜として食べる習慣もなく家畜の飼料にもならず、やたらと大きくなり繁殖力旺盛な雑草で厄介者扱いされた。
 イタドリは、ケナシミヤマシシウドウドと並んで夏になると草藪のなかで最も勢力を誇示しているかに見える野草である。
※雌雄異株について→参考画像@ 参考画像A

(写真上2005.4.24板畑 右上2005.6.18 右下2005.9.18上石黒


            春のイタドリ


写真2005.5.8 上石黒


写真2017.5.23板畑 嶽

     茎に赤い斑点のないイタドリ

写真2010.5.18 落合

          翼をつけた果実

写真2011.10.4上石黒

         木質化した太い根茎

写真207.5.2 下石黒
  春先にイタドリの赤い若葉に出会うことがある。これは、若い葉の中の酵素などがまだ出来ていないうちに強い日光をうけると葉の葉緑体が壊れてしまうことを防ぐためだといわれている。葉緑素が吸収する光は赤い波長の光なのでこれを反射して葉緑体に届かないようにしているわけだ。
 オオイワカガミなどの葉が春に秋から春にかけて赤くなっているのも同じ現象だといわれている。
 その他、紫外線を赤い色素が吸収して紫外線の害から葉を守るためともいわれている。
 確かに、杉林などに生えているイタドリの若葉は緑色である。日陰のオオイワカガミもきれいな緑色をしている。
(参考資料−山梨県環境科学研究所植物生態学研究室HP)
http://www.yies.pref.yamanashi.jp/
pla-eco/seitaitoshashin/topic/
itadorinowakabahanazeakai.html



解 説
タデ科
 北海道西部から九州各地の山野のどこにも見られる大形多年草。根は木質で地中を旺盛にのびて広がる。茎の高さは、大きいものは1.8mにも達する。雌雄異株
 茎は、中空で若いときには赤い斑点があり(斑点のないものもある)節にはサヤ状の托葉がある。
(上左写真)
 葉は、互生し柄があり広卵形で先はとがっている。長さは6〜15cm。
 夏のころ葉の付け根や枝先に穂状の花をつける。
〔下写真〕雄株と雌株に分かれて花をつける→参照画像@ 参考画像A
 雄花には雄しべが8個、雌花の子房上には3個の花柱がある
〔下写真〕
 雌株にはをつけた果実がつき風によって散布される。
 名前の由来は、痛みを取る効果があることによるという説があるが不明。




       イタドリ雌花

 写真2010.9.10下石黒 政栄

       イタドリ雄花

写真2007.7.2大野

          種子

写真2011.10.4上石黒


    茎の赤い斑点

写真2009.4.27 下石黒


     サヤ状の托葉

写真2009.4.30 上石黒

   茎の空洞と節の部分

写真2009.4.27 上石黒


        芽

写真2010.5.18 落合