シオデ
暮らしとの関わり
 石黒では、林の中に入るとよく見かける。特に春の芽立ちの頃に目立つ。
 平凡社「日本の野生植物」には茎の長さは2〜3mとあるが石黒で2m以上に伸びたシオデに出会ったことはない。ともすると長く伸びたものはタチシオデと思って見過ごしているのかも知れない。今後観察したい。
 ※昨日〔2012.7.10〕、茎の長さが2m近いシオデに下石黒の小沢川縁で出会った〔上写真〕。また、昨年〔2011〕の11月に寄合でよく結実した2mほどの高さのシオデ〔あるいはタチシオデ未同定〕に出会った→参考画像
 一般に「山アスパラガス」などと呼ばれ、山菜として珍重されているが、石黒では昔も今も山菜としてほとんど評価されていない。数が少ないせいであろうか。
 シオデと似た植物でタチシオデの他に、サルトリイバラ〔木〕があるが何れも同属で若芽はよく似ている。
 ちなみに、東北地方ではシオデを「ヒデコ」と呼び、秋田にはシオデを歌った「秀子節」という民謡があると聞く。
〔※「十七八ナア、今朝の若草、どこでかったナア、このひでこナア・・・・・・」〕
 それにしても、当時はそれほどたくさんのシオデが自生していたのであろうか。おそらくタチシオデと区別しなかったであろう・・・。

(写真上 2012.7.10下石黒  右上2006.7.20下石黒  右下2005.10.19大野 )


            葉の形と光沢

撮影2012.7.10下石黒

            雄花と雌花のつくり
雄花 雌花
撮影2005.7.21下石黒 撮影2007.7.12下石黒

 ※タチシオデとの花被と葯の比較資料
   上のシオデの雄花と比較すると

○花被が下方への反り返りが少ない。
○葯の長さが短い
 撮影2007.6.2下石黒
 

         果実と種子〔1〜4個〕

撮影2010.11.17下石黒

解 説
ユリ科
 日本全土の、ややしめった林床及び山林の縁や野原に生えるツル性多年草雌雄異株
 茎は直立し巻きひげで他のものに巻き付き2〜3mにのびる。
 葉は互生し短い柄があり長さ5〜15pの楕円形で先は鋭く尖る。全体に数本の葉脈があり葉のつけねには托葉の変形である巻きヒゲがあってそれで他のものにからむ〔下写真〕
 花期は7〜8月。(よく似たタチシオデは5〜6月)葉の付け根から長い花柄を出して淡黄色の左写真のような花をつける。
 雄花の長さは4〜5o、雌花はそれより小さい。花被は6個で長さは約4oで反り返る。〔左写真〕。  幅は狭く水平に開く。雄花は花糸の長い雄しべが6個。雌花の子房は3室、短い3本の花柱があり周りの仮雄しべも伴う〔左写真〕
 果実は球形、熟すにしたがい緑から黒に変わる。
 同種によく似たタチシオデがあるが、大型で立ち上がるときには葉やツルを出さない。→参考画像
 またタチシオデの果実はやや白い粉をふいた感じである。
 名前の由来はアイヌ語の方言の「ジュウオンテ」による。



       茎先端部

撮影2012.7.10下石黒

     シオデ巻きひげ

撮影2005.10.27下石黒

        果実

撮影2010.11.17下石黒