タチシオデ
暮らしとの関わり
 石黒では、林の縁などに普通に見られる。
 石黒では、シオデやタチシオデを山菜として食べる習慣はなかった。特にタチシオデは食べられるなどとは誰も思わなかった。
 筆者などは、草やぶの中にニョキニョキと伸びた太い蔓状の若芽を見るといかにも毒々しい感じを受けた記憶がある。(下写真)
 シオデを山アスパラガスと呼び食べる村人が現れたのは1975年頃からであろう。とはいえ、タチシオデやシオデは個体数が少なく、現在、山菜として採るのはごく一部の村人にすぎない。
 シオデとの区別は簡単ではないが、葉の裏面は粉白色であること、果実の表面がやや白色を帯びることなど。また、花期がタチシオデは5〜6月であるがシオデは7〜8月と異なることなどであるといわれている。
 しかし、実際のところ筆者は、現場では迷うことが多い。今年度は、重点的に観察したい。

(写真上・右上2012.5.28下石黒  右上下2005.10.27下石黒  


       春に立ち上がっタチシオデ


写真2005.5.21 落合

               
若い果実

写真2006.6.15 落合


      葉の裏表と同一個体の葉の比較


写真2010.10.15 下石黒

解 説
ユリ科
 本州から九州の林の縁や草ヤブの中などに生える多年草雌雄異株
 太い地下茎をもち春に芽が直立して伸び〔左下写真〕、その後は他のものに寄り掛かって巻きひげをだしてつかまり生長する。高さ1〜2mで円柱形で滑らかでトゲはない。
 葉はまばらに互生し広楕円形または長楕円形で長さ6〜10p。葉の表面は鮮緑色で裏面は淡色で多少粉をふいたような白色(左下写真)、脈は隆起して鮮明で脈上に短毛があることがある。
 葉柄は長く基部の両側の托葉は巻きひげとなる〔左下写真〕
 花期は5〜6月(シオデは7〜8月)。長い柄のあ少し丸い散形花序を葉のつけ根につける〔上・下写真〕
 花は黄緑色、花披は6片あり同形で長さ4oほど、幅の狭い長楕円形をした広い鐘状に開き内側に曲がる。雄花には花被片と相対してやや短い雄しべが6本ある。雌花には花被片と相対してやや短い雄しべが6本ある。雌花には球形の上位子房があって花柱は3本に分かれている。
 液果は何個か集ってつき夏から秋に熟し熟すと黒色となり多少白色を帯びる〔左・下写真〕
 名前の由来は立ち上がり蔓状に伸びることによる。



   タチシオデの若い花芽

撮影2005.5.12落合

         雄花

撮影2007.6.2下石黒

       種子

写真2010.10.15 下石黒