オオイタドリ | |
暮らしとの関わり 石黒では「ウマスッカンボ」と呼んだ。「馬イタドリ」で大型のイタドリの意味であろう。 家のまわりには見られなかったが、川辺などにはよく見られた。 子どもの頃、まんぞう川(松沢川)に魚捕りに出掛けると見上げるほどの丈のオオイタドリに出会い圧倒されたものだ。なんにせ、高さは3メートルを超え、葉の長さが40p余もあるのだから、まるで昆虫の目線に近づいたようで薄気味悪いほどだった。 夏休みの昼さがり、オオイタドリの葉が川風に揺れるマンゾウ川の渓谷で川底の石の下に両手を入れてウグイを手づかみでとらえた時の感触と陽に輝く銀鱗の美しさは今も鮮やかに蘇る。川風に葉を翻してまぶしいほど白い葉裏を見せたオオイタドリのことも憶えている。 それにしても、六十余年も以前のあの感触をこのように鮮明に覚えているのはこの両手の指であろうか、それとも頭脳であろうか、などと愚なことまで考えてしまう。 1973年に石黒川下流に鯖石ダムが完成しその後、石黒川支流のマンゾウ川にも土砂流出防止の堰堤がいくつも造られてウグイは姿を消してしまったが、オオイタドリは当時のまま今も健在だ。 黒姫山の麓や落合川下流沿いには大群生が見られる。(参考画像) 発芽から幼苗までの成長の姿を比較観察するとイタドリとは、かなり異なることがわかる。→参考画像 鯖石川河口付近でもオオイタドリに稀に出会うが、海に近い所の種は茎や葉柄が赤いものが多いようだ。 〔写真上2005.6.14大野 右上2005.5.3板畑 右下2005.9.9下石黒〕 川沢沿いに多いオオイタドリ 撮影2010.5.16寄合松沢川 オオイタドリの若草 撮影2009.5.19落合くぐり オオイタドリの雄花 撮影2005.8.25板畑 オオイタドリの雌花 撮影2006.9.24上石黒 秋のオオイタドリ 撮影2008.11.12寄合 葉の大きさと表裏の比較 撮影2010.6.18寄合 太く長い根 撮影2011.6.5.寄合松沢川 海岸のオオイタドリ 撮影2013.6.6柿崎海岸 写真2015.6.11鵜川河口付近 |
解 説 タデ科 本州・北海道の日当たりの良い川辺や山地に多く見られる多年草。北海道、本州中部の日本海側に多い。雌雄異株 根茎は横に這い太く皮は褐色で内部は黄色。 茎は高く(下写真)高さは2〜3m、多少弓状に傾き円柱形で中空(下写真)。質はかたく緑色で上部は枝分かれする。 葉は柄があり互生し長さは20〜40p、幅10〜20pと大きく、裏面は粉白色。〔左下写真〕 托葉は膜質でサヤ状(下写真)。両面の脈上に短毛がある(下写真)。 花期は7〜9月で茎の上部の葉の付け根から花穂を出し多数の白い小花をつけ、毛があり、ガクは5裂し2oほど。花弁はない(下写真)。 雌花のガクは外側の3個の背部に翼をもち生長して果実を包む(下写真)。雄しべは8個、雌しべは果時に大きくなり背部に翼をもち倒卵形で長さ約10o。 そう果は3稜形でイタドリ同様葉柄の付け根につくが色は淡緑色である。 名前の由来は大形のイタドリという意味。 オオイタドリの葉裏色 撮影2005.6.15寄合 イタドリとは異なる若芽の形 撮影2006.5.9大野 初夏の頃 写真 2019.5.29板畑 嶽 (背景は棚田100選 花坂新田→拡大写真) 葉の表裏脈上の毛 雄花 膜質の托葉 撮影2008.6.12寄合
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