オニユリ | |
暮らしとの関わり 石黒では、コオニユリはよく見かけるがオニユリは希にしか見られない。両方とも栽培したものが野生化したものと思われる。 観賞用としては、葉のつけ根にムカゴのつくオニユリよりもコオニユリが勝るであろう。花弁の黒点もオニユリは強烈すぎると感じる人もあろう。 子どもの頃にムカゴの沢山ついたオニユリを見て異様に感じた記憶があることからも、栽培も石黒ではコオニユリが多かったのではないか思う。また、ユリ根を正月の吸い物のツマに使った石黒では、オニユリの鱗片がコオニユリに比べて苦味が強いことも敬遠された原因の一つであろう。 先日〔2009.10.23〕にオニユリのムカゴを観察するに、茎上ですでに根や葉を出している〔下写真〕。ユリの仲間で唯一ムカゴをつける種であるといわれるが、野生で十数本が群生しているものをよく見かけるのは、ムカゴが地上に落ちて実生となり増えたものであろうか。 石黒に育った筆者にとって、オニユリやコオニユリ、そしてヤマユリなどは、子どもの好きな季節である夏をもたらす花でもあったように思う。 先日(2016.8.12)、石黒の生家跡地で倒れかかったコオニユリを手折って、自宅のテーブル上の花瓶に差して眺めているが10日ほど次々と開花して目を楽しませている。昨日、そこへ自宅の庭のオニユリを一本差し加えて観察するに、オニユリの葉は幅が広く少し厚いようだ。 今日、(2016.8.25)厳しい残暑なので、早朝、暗いうちに出発して山小屋の畑の大根の種播きに行った。一休みをしているときに鳥海山の庭石の割れ目にユリの実生2本が10pほどに成長していた(右下写真)。(この実生は昨年初めて発見したが5pほどでユリであるこも判断できなかった)。 しかし、今日、よく観察すると姿がオニユリらしく成長し、驚いたことは、すでに数個のムカゴをつけていたことだ。このような厳しい条件の中でこそかも知れないが私には、とても感動的な発見であった。 上写真2009.7.27下石黒 撮影 政栄 左上写真2009.10.23寄合 オニユリのつぼみと花 写真2009.7.22柏崎市東ノ輪 撮影 政栄 つぼみのころ 写真201.7.1荒浜 防砂林の中のオニユリ 写真2015.7.26荒浜 根や葉を出したムカゴ 写真2009.10.23寄合 花のつくり 写真2007.7.29下石黒 果実期のオニユリ 写真2012.10.25椎谷海岸 |
解 説 ユリ科 北海道〜九州の、田畑の周りなどに生える。もとは中国から渡来したもので栽培されていたものが野生化したものといわれている。 地下には黄白色の鱗茎があり径5〜8pほどで各鱗片はヤマユリに比べて幅が狭い。鱗片はやや苦味がある。ムカゴの実生から3年ほどで花をつける。 茎は高さ1〜1.5mになり円柱形で紫褐色または暗紫色の点が一面につく〔上写真〕。また若い時には白いヒゲ状の毛がある。 葉は皮針形で多数つき長さ5〜15pで深緑色。 葉腋には黒紫色の珠芽〔むかご〕をつける。ムカゴは秋に地上に落下して根を伸ばす〔下写真〕。 花期は7〜8月。頭頂に2〜20個ほどの花を下向きにつける。花にはすべて柄があり、径は約10p、花弁は6個で橙赤色。花披片はひどく反り返った皮針形をし、内側には黒紫色の小班点が多数ある。花片の下部には不揃いの突起がある。蜜腺溝(花弁の基部の凹線)には短毛がある。芳香はない。 雄しべ6個は花の外までのび葯〔花粉袋〕は暗赤色の花粉を出す。花柱は長く上に曲がる〔左下写真〕。 花後ほとんど果実は実らないが希には実ることもある〔上写真〕。 名前の由来は、ヒメユリに対して大きな逞しいユリという意味。 つぼみの頃にに見られるムカゴ 写真2016.7.1荒浜海岸 庭に植えられたオニユリ 写真2016.7.24田塚 よくついたムカゴ 写真2012.10.25椎谷 むかごと花弁 写真2007.7.29下石黒 地面に落ちて根を出したムカゴ 2009.10.20下石黒・撮影 政栄 茎の白毛 写真2007.7.29下石黒 オニユリ(右)とコオニユリの葉 写真2016.5.27松美町 実生から2年でムカゴを持つ個体 写真 2016.8.25下石黒
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