オモダカ
暮らしとの関わり
 石黒では、近年、休耕田などに上の写真のような一面のオモダカの群生が見られる。オモダカは、昔から水田の強害草の一つで、とくに成長期がイネと重なるために厄介な雑草であった。
 それにしても、このような光景には我々世代は、どうしても馴染めないものを感じる。
 我々の遠い先祖から祖父母、父母たちまでは、重機などなかった時代、鍬とモッコで心血を注いで新田を開発した。彼らはそうして手に入れた田が、このように全面雑草に覆われ荒れ地に変わる時代が来ることなど夢にも思わなかったであろう。→四季の農作業 田堀り
 だが、このような光景は、わが故郷のみならず日本全国の中山間地域にわたって、年々広がりつつある。
 田ばかりではない、何よりも、我々の先達が千年余にわたって努力して維持してきた集落そのものが止まらない過疎化によって消滅しつつあるのが現状である。
 集落の衰退は、それを取り巻く、田畑や山道、山林の荒廃につながり、水害や土砂災害などの自然災害をひきおこし、ひいては人と共に生きてきた、陸上の動植物のみならず、この国を取り巻く海洋生物へも計り知れない影響をもたらすことになるのではなかろうか。

2005.7.31上石黒

参照資料→田堀り1
参照資料→田堀り2
ビデオ資料→棚田 風張り


            花期のオモダカ

写真2005.7.31上石黒

          雌花(左)と雄花

    写真2007.9.19大野

                草姿

2010.8.12上石黒

      おしべと退化した心皮

2007.9.19大野
解 説
オモダカ科
 全国各地の浅い池や水田に生える多年草
 根茎は短く白いヒゲ根を多くもち走出枝を出し、その先に秋には小形の球茎をつける。
 草丈30〜70p。
 葉は根生し根本から長い柄のある矢尻形の葉を数個かためてつける。上の裂片より下の2つの裂片の方が長い〔左写真〕葉脈は裏面に隆起する。(下写真)葉の長さは30〜60p。
 花期は8〜10月。雄花は花茎の上部に20〜80pの長い花柄を伸ばし白色の3個の花を輪生し節ごとにがある。〔上・下写真〕雌花は下部に多数が球状に集まった花をつける。(写真下)
 
ガク片は3個で緑色、花弁は3個で円形で白色、長さ8〜10o。雄花には多数の雄しべがあり中心部に退化した心皮〔雌しべの一部〕がある(左下写真)。雌花には多数の扁平な心皮がある。
 果実は密集しやや平たい球形となり淡緑色である〔下写真〕
 名前の由来は人の顔のような葉が柄の上の高いところにつくことによる。



  葉裏に隆起する葉脈

2007.9.19大野

      節の包

2007.9.19大野

  つぼみをつけた花軸
2010.7.19上石黒

    輪生してつく果実(花)

2006.10.22上石黒

      果実と種子

2007.9.19大野