ヌカボシソウ | |
暮らしとの関わり 石黒で初めてヌカボシソウを見たのは城山の尾根を上る旧道〔上石黒-寄合〕上り口であった。 数百年にわたって踏み固められたこの尾根には、未だ人の足の温もりを感じるが、ここで初冬に上のような草姿を見た時にはよほど珍しい植物であると思った。スゲ類とは異なり柔らかそうな葉は園芸植物の一種のようにも思われた。 花も、ラン科の花を想像して期待していたが咲いた花は、石黒言葉で言えば「ほんに、いせぇもねぇ花」であった。 それにしても、満天にちりばめた無数の星、「ぬか星草」とは身の程知らぬ壮大なる名前である。だが、下の写真の花の形をよく見ると確かに星の形に似ている。 ヌカボシソウが、その青々した優しげな葉で一番人目をひきつける時期は他の草の枯れた初冬の頃であろう。 写真上・右上2013.4.23石黒城山 右下2005.5.28下石黒 若芽の頃 写真2005.5.2下石黒 若葉がきれいに整った株 写真 20119.5.7松美町(観察用植栽−石黒城山より移植-2006) 開花を迎えるころ 写真2018.3.26松美町(観察用植栽−石黒城山より移植-2006) 夏季の草姿 写真2007.6.27下石黒 晩秋の草姿 写真2005.11.26下石黒 花序 写真2009.4.28下石黒 ヌカボシソウの花 撮影2007.5.26下石黒 果実期 撮影2007.5.28下石黒 種子と種枕 撮影2013.6.25下石黒 初冬の様子 撮影2015.12.26.松美町 |
解 説 イグサ科 日本全土の各地に普通に見られる多年草。時には走出枝を出す。 葉は線形で根生葉は広腺形で長さ15p、幅3〜5oほど。茎葉は根生葉に比べて小形。柔らかで光沢があり縁にまばらに白い毛がある。(下写真) 茎は下の方では次第に膜質の鱗片状になっている。茎の高さは20〜30pほどで3〜4枚の茎葉をつける。 花期は4〜5月。高さ10〜30pの花茎の先端に褐色を帯びた小さい花をまばらにつける〔左下写真〕。花の径は2〜3o。花被片は鋭く尖り、〔左写真〕雄しべは6個で花被片より短く、葯〔やく〕は花糸より長いか同じ。花の径も高さもほぼ同じ。 さく果は広卵形で長さ3.5oで緑褐色の凸頭。種子は楕円形で同じ長さの種枕〔しゅちん〕がある。種枕は種子と同じ長さで湾曲している(左下写真)。種枕は、多くの植物の種子に付いた肉質の組織でエライオソームと呼ぶ。アリの好物であり、アリはこれを巣に運んでエライオソームを幼虫に与え、食べ終わると種子は巣の外に放り出し、種子はそこで発芽する。 さく果の長さ、種子の形、種枕の大きさは変異が多い。 名前の由来は糠(ぬか)星草でまばらに咲く花(右下写真)を夜空の星くずに見立てたもの。 若い花序 柱頭が出ている咲きはじめ 撮影2007.5.26下石黒 開花始まる 写真2018.3.26松美町 高さのある花冠 撮影2007.5.26下石黒 葉の縁の毛 撮影2009.8.21下石黒 さく果 撮影2009.5.7下石黒 果実 撮影2010.8.14下石黒 秋の草姿 写真2011.10.27下石黒 |