コシノコバイモ
暮らしとの関わり
 黒姫山の北側、鵜川、野田、別俣地域には多く見られるのに石黒では少ない植物の一つである。
 葉も花の色もいたって地味であるが、花が篭のような独特な形をしていて珍しがられる。ひところ山野草愛好家の間では「幻の野草」と珍重されたが新潟県ではそれほど珍しいものではないであろう。
 昭和40年(1965)代のことだが、別俣校の女の子3人が登校時、それぞれが一握りずつ、コシノコバイモを教室に飾るためと手折って来たことがある。それを見て驚いた私が、「探して採ってきたのか」と尋ねるに、「通学路にいくらでもあるよ」という返事であった。後日、通学路に行ってみると道の土手にあちこちと数十本が確認された。
 先日、(2010.5.2)に、30年ぶりに細越地区の当時の通学路を訪れてみたが道と土手の様子はそれほど変わっていなかったが、コシノコバイモは1本も見つけることは出来なかった。付近を歩いてみたが遂に出会うことはなかった。
 当地でも今は「幻の野草」になったのであろうか。

(写真上・右上中2005.5.17上石黒 右下2005.5.31上石黒)


             花のつきかた
写真2005.5.30上石黒

              果実期

写真2005.6.7上石黒

            
  全体の姿

写真2005.5.30上石黒


解 説
ユリ科
 北陸地方の日本海側の山地の林の中や周りに生える多年草
 草丈は10〜20p。鱗茎は球形で径1p、2個の厚い鱗片からなる。
 葉は5枚つき、長さは5p内外で柄がなく、上方〔花下〕の3枚は輪生、その下部の2枚は対生する。
 花期は4〜5月。一輪、茎の上に下向きにつく〔上写真〕。広鐘形で花の長さ径ともに2pで短い柄がある。花披片は狭楕円形で幅は6〜7o、淡黄色であり紫色の網状の紋がある。縁のあたり特に内面の中脈に沿って突起がある→コバイモとの区別点(下写真)花糸花柱は平滑。
 発芽から花を付けるにまでには6〜7年かかるという。
 名前の由来は、球根を小さな貝に見立てたもので「越〔新潟・富山〕の小さな貝母」の意味。補助写真クリック



  花弁の縁の内側の鋸歯

写真2005.5.17上石黒

   球形の鱗茎→解説
写真2005.6.7上石黒