カヤツリグサ | ||
暮らしとの関わり カヤツリグサは石黒では「マスグサ」と呼んだ。昔の子どもたちはこの草の茎の上下を切り、二人で両端から裂いて枡のような形を作って遊んだ。 しかし、カヤツリグサに親しみを持てなかったのは、畑や田の畔の強害草であったからだろう。 夏休みに畔草とりを任される子どもにとって、カヤツリ草は「憎い雑草」の最たるものであった。 ミンミンゼミの鳴く炎天下、田の畔草とりでカヤツリ草と格闘した遠い少年時代の夏の日を、あの独特の香気とともに思い出すのは筆者ばかりではないだろう。 カヤツリグサは世界では3000種以上、日本でも600種もあるといわれ同定が難しいものもある。更に確認していきたい。 (写真2005.9.9 右下2005.10.8寄合) 果実期のカヤツリグサ 写真2014.9.17旧別又小学校 小穂 写真2007.9.4落合 紫色のヒゲ根 写真2009.9.7下石黒 草姿 写真2007.9.1上石黒 |
解 説 カヤツリグサ科 日本全土の畑、田の畔、荒れ地など日当たりのよい所に生える一年草。 茎は葉の間から数本立ち鈍い三稜〔上写真〕があり緑色で高さ30〜50p。草全体に一種の香りがある。 根は紫のヒゲ根。 葉は根元から出て細長く線形で先はとがり質は堅くない。 花期は7〜8月。茎の先に3〜5個の苞をつけそのつけ根から4〜9本の花茎を伸ばす〔左上写真〕。 一本の花茎に花穂を大抵3個ずつ集ってつける。その花穂は20個くらいの小花を2列につけ長さ1〜1.5pほど。 鱗片は舟形、楕円形で褐色。中肋〔ちゅうろく−中央の線状隆起部分〕は緑色で先端が鋭くとがる〔左写真〕。 果実は黒褐色で3稜あり長楕円形〔下写真〕、花柱は小形で3個の柱頭がある。 カヤツリグサは酷似するコゴメカヤツリグサに比べこの小花が赤褐色に変化する事でも区別できる。 名前の由来はカヤツリグサの根元と先を切り取り、二人で両端から同時に裂くと真ん中あたりで四角が出来てちょうど蚊帳をつったような形が出来ることによる。 種子 写真2009.10.4下石黒
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