キキョウ

 筆者が子どもの頃、キキョウは多くの家でつぼどこ(坪床)に植えられていた花の一つであった。子どもの頃からキキョウの花には一種の気品が感じられたように記憶する。お盆の墓参りにも持参した花の一つであった。また、風船のように膨らんだツボミは子どもの頃には見るたびに指で押しつぶしてみたいという衝動にかられたことを憶えている。今、右の写真でみると花期後の様子は破れたコム風船のようで面白い。
 秋の七草の一つであるが6月下旬から開花が見られる(柏崎市街地)ことは意外に思われた。
 石黒、柏崎市で自生種に出会ったことはない。子どもの頃から自生のキキョウの話も聞いたことはない。現在では石黒には自生していないと断言できよう。石黒では、10年ほど前まで僅かに自生が見られたオミナエシもほぼ絶滅したと思われる。(筆者が最後に確認したのは2007年、場所は上石黒の地名高床の頂上付近であった)
 現在、キキョウは環境省のレッドデータブックの絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されている。

(写真2020.7.10長浜町)

 雄性先熟の花の様子の比較
 花粉放出期  花粉受粉期
  写真 2020.7.10 長浜町


解 説
キキョウ科
 日本全土の日当たりのよい場所に自生する。しかし、現在ではその数は激減して絶滅危惧種に指定されていている。根は太く薄肌色。
茎は直立して高さ50~100㎝ほど。とくに自生種は草丈が高い。
 葉は普通は互生し(希には対生輪生も見られる)先は尖っていて縁には鋸歯がある。下面はやや白色を帯びる。
 花期は6下旬から9月ごろまで。秋の七草の一つで秋の花のイメージが強いが柏崎では6月下旬から開花がみられた(2020)。
 雌雄同花であるが雄性前熟であり、先に雄しべが成熟して花粉を出し、その後雌しべが開き受粉するという自家受粉を避ける巧妙な仕組み。花冠は広鐘形で5裂し直径4~5㎝の合弁花
 花弁は5個〔※1個に合弁しているが・・正確には5個とする(見る)であろう〕、雄しべ、雌しべ共に5個。
 名前の由来は、キキョウは根から作った漢方薬「キチコウ」という名前が変化したものと言われる。



       茎と葉の様子

写真 2020.7.10 長浜町