カラハナソウ | |
暮らしとの関わり 石黒では、草藪の中によく見られる植物である。 子どもの頃は、作り物のような果実が物珍しく貴重な植物のように思われた。蔓や葉に触るとざらついた感触がしたことをおぼえているが、今になってよく調べてみると葉や茎に細かいトゲがびっしりと生えている。 成人した後、ビールの苦みの元となるホップ(セイヨウカラハナソウ)の写真を見て、もしやと思って調べてみると、果たしてその仲間であった。 雌株が松ぼっくり状の花をつけている様も目ひくが、雄株が木にからみ上って花を咲かせている様もうつくしい。→雌株 先日(2010.10.19)上石黒の地名「もうぎだいら」で高い木に絡み上ったカラハナソウを見た。(下写真) 農耕地の周りでは、繁殖力旺盛でやっかいな草の一種でもある。 石黒では普通に見られる美しいクジャクチョウ、キタテハの幼虫の食草。 (写真2005.9.25寄合 右上2005.8.25大野 右下2005.10.12寄合) カラハナソウの若芽 写真2011.5.8 居谷 対生する基部〜中部の葉 写真2009.4.30 上石黒小岩峠 前方道路石黒側 互生する、花穂をつける小枝の葉 写真2005.9.29 下石黒 秋のカラハナソウ 写真2006.10.14 上石黒 カラハナソウの葉のトゲ 写真2007.5.29 寄合 木に絡み上ったカラハナソウ 写真2010.10.17 上石黒 |
解 説 クワ科 北海道・本州の山地に自生する多年草。雌雄異株。 茎は蔓をなして、葉とともにとげ状の毛があり他の草木にからむ〔左下写真〕。 葉は対生で長い柄があり心臓形でしばしば3つの切れ込みがあるものもある(下写真)。縁には粗い鋸歯がある。また、葉面はざらつき雌の花穂をつける小枝の葉は普通互生する。 夏、葉の付け根から小枝を出し、房状の緑色を帯びた黄色い花をつける。(写真右上・下) 果実はホップに酷似した松毬形で、柔らかく緑色。雄花は多数円錐花穂につき淡黄色、ガクは5個、雄しべ5個がある。 雌花は淡緑色で球穂状に集まり2個の花が2個の鱗片につつまれ子房の上には2個の花柱がある。 果実期にはこの包が成長して薄い膜質となり重なり合いふくれて大きい卵形球形となり淡黄白色で多数が並んで枝から垂れ下がる〔左上写真〕。 そう果は包ごとに2個つき小包に抱かれて更にガクに包まれている。小包やガクには黄色の細かい腺点がありよい香りを放ち、味は苦くこの点はポップと同じ。 種子は、上の写真のように一枚の苞(ほう)の元について風にのって飛んでいく〔下写真〕。 名前の由来はツルについた花穂を唐草模様にたとえたもの。 若芽 写真2009.4.30 上石黒小岩峠 一般に見られる心臓形の葉 写真2009.6.9 上石黒 3裂した葉もある 写真2009.5.19 落合 カラハナソウ雄花 写真2007.9.1 上石黒 カラハナソウ雌花 写真2007.9.7 大野 写真2007.9.23 上石黒 カラハナソウ雌花(そう果) 写真2007.11.17 大野 初冬のソウ果 写真2008.12.3寄合 |