ヒメシャガ
暮らしとの関わり
 ヒメシャガは石黒に自生するが個体数は少ない。屋敷内のシャガのような繁殖力はなく、道上の崖状の斜面にあちこちと張り付くように生えている。そのため、よく目につきやすく不心得の野草好事家の盗掘にも遭いやすい。
 2005年に花坂新田の用水路に雪とともに崩落した一株を持ち帰り鉢植えにしたところ、年々増えたため、数回にわたって株分けして希望者に貰ってもらったほどだ。試しに石黒の山小屋の周囲に移植してみたが鉢植えのようにはいかず2〜3年で消滅してしまった。
 現在(2010)でもヒメシャガは、不心得の野草好事家などにより盗掘されることがしばしば目につく。ヒメシャガは、葉も花も鉢植えにすれば即座に様になるような草姿であるため盗掘が絶えないのではと想われる。
 毎年、山野草展が行われるようだが、そこへの出品のために多くの稀少植物が盗掘されているとしたら本末転倒である。稀少植物は出品枠から外すくらいの主催者の配慮がほしいものだ。〔多分されてはいるとは思うが・・・〕
 筆者は、開花を待って撮影に訪れると跡形なく盗掘されていることを何度も経験したが、実に哀れでならない。 

(写真2005.5.16寄合)


                若芽

写真2005.4..25大野

        雪とともに崩落たヒメシャガの若芽

写真2012.4.25寄合

              葉の様子

写真2006.5.10花坂

             つぼみのころ

写真2012.5.16板畑 城館山

                花期


(写真2008.5.16寄合釜坂)

      基部の様子(若芽のころ)

写真2009.4.大野


           さく果〔成熟前〕

写真2006.6.30寄合釜坂

解 説
アヤメ科
 北海道西南部〜九州北部に分布し、やや乾燥した林内や岩上に生える多年草。シャガに似ているが小形。またシャガの葉は常緑であるがヒメシャガは冬は枯れる。
 根茎は短く分枝しほとんど繊維がない。
 茎の高さは15〜30p。
 葉は淡緑色で光沢がなく、長さ20〜30p、幅1p程で先端はやや垂れ下がる〔左写真〕
 花期は5〜6月。葉より高い花茎を出し2.3本に枝分れし花をつける〔上写真〕外花披3片は大きく淡紫色で中央は白く、紫色の脈と黄色い斑がある。内花披片3片は小形で淡紫色。外花披片とともに先端が凹んでいる。花柱3個は斜上して先端は深く鋭く裂ける〔左写真・下写真〕
 さく果は球形。種子は小形で暗赤褐色。
 栽培のための盗掘が絶えず全国的に個体の減少が見られる。
 名前の由来は小さなシャガの意味。



       つぼみ-1
写真2009.5.3板畑 記録的小雪

       つぼみ-2

写真2008.5.10寄合


        花序

    花披片と花柱



写真2009.5.6寄合

        種子


写真2011.6.29寄合

     種子散布後
写真2013.10.13寄合