ハイゴケ
 石黒では普通に見られる。山道や林の縁など所を選ばずに生えるコケのように見える。
 庭に植えてみると、スギゴケに比べて性質が強く繁茂力も強いように思われる。そのうえ、冬期には緑色が鮮やかで特に見栄えがする。
 そもそも、寒さに強いコケがその役割を果たすのは晩秋から冬季であると思う。庭に植えるコケは、何よりも厳寒期にも緑色が鮮やかなものであることが第一だと思う。
 また、ゼニゴケなどは別にして、コケのある風景は見る者の心を和ませる力があるように思う。撮影中の雑木林で一休みしているときに傍らの木の切り株に生えたコケの中にヤブコウジなどが生えている様子を見ると優れた盆栽を想わせる。
 たまたま、そこに木漏れ日が当たっている折など、じっと見つめていると、何となく吸い込まれるような心地さえする。
 上の写真の個体は自宅の庭に移植したものであるが、迷わずハイゴケと同定した。

写真2014.1.3 松美町


    ハイゴケの中に生えたヤブコウジの実生
写真2009.10.31 上石黒

              晩秋の頃

写真2015.11.29松美町

          ウマスギゴケとともに

写真2015.12.22田塚


解 説
ハイゴケ科
 日本全国の低地から開けた場所、日当たりのよい草原や道端や岩上など普通に見られる。
 茎は横に這い長さ10p前後になる。ほぼ規則的に羽状の枝を出して乾くとこの枝が少し背面に巻く。
 葉は広い基部から細長くのび、長さ1.5〜3mmほどの広卵形。中ごろから先は強く曲がり、先は次第に細まり尖る。縁はほとんど全縁中肋は弱く基部は二又に分かれて短い。
 大きさ、色、枝の分かれ方など場所により変化が大きい。
 日当たりのよい所でも育つため庭の芝草の代わりに植えることもある。



       茎と葉

写真2015.11.29松美町

    枝分かれする様子

写真2015.12.22田塚