ガガイモ
暮らしとの関わり
 上の写真は2005.9.2に板畑集落の嶽で撮った。私はこの時初めてガガイモと出会った。肉厚な葉と白い軟毛が密生した花を見て驚いた。
 カガイモは石黒で出会ったのは、この時が初めてである。少なくとも筆者の生まれ育った下石黒集落の周りでは見られなかった。同じガガイモ科のイケマは稀に見かけたが・・・。
 その後、秋に果実の写真を撮りに板畑に行くとガガイモの大部分は刈り取られてしまっていた。あたりを探したが他に見つけることができなかった。
 幸い、翌年の初秋には、ほぼ同じ場所に生えていた個体に、小ぶりの果実ではあるが2個つけていた。私は、その土地の所有者に頼んで刈り取らないように依頼して観察することにした。
 前年から、果実中の、「種髪-冠毛のようなもの」と呼ばれる毛をつけた種子を撮影できることを願って楽しみにしていた。
 幸い、果実の成長を観察しているときに、その場所から50mほど下ったところに数株のガガイモが自生していることを確認した。しかし、果実は十分に成熟した時期に採取することはできなかった。
 幸いに柏崎市街地周辺ではガガイモは珍しいものではなく、所々で見かけるので果実の成熟を待って、ようやく2008.11.3に成熟した果実を採取できた。
 家に帰って、さっそく、陽の当たる窓辺で果実を二つに開くと、買ったばかりの筆穂先のような毛(種髪)をつけた種が整然と並んでいた。
 それを黒い紙の上に取り出すと、みるみる長い毛が生き物のように開きだした。そして、浮き上がるように動き出したので慌てて手を動かしたために起こった微風で一気に多くの種子が部屋のなかに舞い上がった。まさに唖然とする思いで眺めているしかなかった。→動画資料-ガガイモの種子
 後に分かったことであるが、カガイモのこのような種子は同じガガイモ科のイケマに実によく似ている。こちらも、石黒には自生するが稀である。

(写真上・右上2005.9.2板畑 下、右下2008.9.22板畑)
 →参照画像

 今日は、散歩道でガガイモの種子に出会い、家に持ちかえって観察しながら写真を撮りました。
 とても不思議な形で面白かったです。観るほど想うほどに花や果実の美しさに驚き感動し、又その仕組みは実に良く出来ているものだと改めて感心させられるばかりです。
 以前にHP「石黒の動植物」のこのページを読んでいたお陰でえらい目に会わずに済みましたよ!吐く息で長い毛のついた種子が舞い上がるのね!! とても神秘な美しさでした。 (大橋洋子 福島 受信2011.12.27 )

            葉の様子

写真2008.9.22板畑

             幼苗

撮影2010.7.4 藤本町

            花期のガガイモ

撮影2009.8.11春日

            ガガイモの群生

撮影2008.11.6 春日

             美しく黄葉した姿

写真2014.11.2東の輪町

            果実の中の種子

撮影2008.11.3 春日

          種子散布期の果実
撮影2012.11.30 藤元町

           種子散布後の様子
撮影2014.2.21 藤元町

           カガイモの地下茎

撮影2011.11.11.春日

    市街地の商店街の芝の中に見られる個体
 写真 2019.9.9 松美町



解 説
カガイモ科
 日本全国の日当たりの良い草原などに見られるツル性多年草
 長い地下茎を伸ばして繁殖する(下写真)
 根茎は長い
 葉は対生し長ハート形で柄があり長さ5〜10p、幅3〜6p。若葉は表にも白い軟毛が一面に生えている。(下写真)
 8月頃に葉の脇に淡紫色の花柄の長い花序をつける(下写真)。茎や葉を傷つけると白い液がでる。(下写真)
 花冠は5裂し径1pほどで内面は淡紫色で密に毛がある。裂片の先はとがり反り返ってややねじれる(下写真)副花冠がある(下写真)
 果実は表面にイボがあり細いゴーヤに似た形で長さ8〜10p。種子は白い錦糸状の長い毛(種髪)をつけて風に乗って飛ぶ。→参照画像
 牧野図鑑によると種髪は、昔は針さしや印肉用の綿として用いられたものだという。
ギンツバメ(蛾)の食草。
 名前の由来はガガイモの漢名「羅摩・かがみ」による。



        幼苗
写真2013.6.5柏崎海岸

  白い軟毛で覆われた若葉

   (2008.7.18板畑

葉のつけ根から出る長い花序
2008.9.28板畑

   花裂片の先のねじれ

2008.9.28板畑

     副花冠をもつ花
写真2005.9.2板畑

     ガガイモの白い液
撮影2008.9.23板畑

    未成熟の果実の中


      果実の断面

写真2011.11.21春日

        種髪
採取2008.11.3 春日

        種子

撮影2012.11.30 藤元町


   幼苗の長い地下茎

撮影2010.7.4春日

      果実の殻
撮影2014.2.21 藤元町