ドクダミ | |
暮らしとの関わり ドクダミは野草の中では最も身近な植物の一つである。優れた薬効のある草としてもてはやされたり、いやな臭いのある強害草として嫌われたり、評価は時と場合により様々であるが人間の暮らしと昔から密接な関係を持ってきた植物であることは間違いない。 子供の頃から腫れ物ができるとドクダミの葉を温めて貼ってもらった。また、切り傷には自分でドクダミの葉を揉んで貼ったものだった。 しかし、害草としてのドクダミも、実にしたたかで地下茎で広がるためなかなか厄介な雑草であった。しばしば群生に出会う。→参考画像 また、昭和20(1945)〜30年代の子供は夏休みの課題の薬草採取が、ヨモギ、ゲンノショウコとドクダミであった。ドクダミはヨモギの次に採りやすかったので、せっせと採って乾かした。→参考画像 ちょうどその頃が開花期であり、夏の日、朝霧の中に白い絨毯を敷いたよう咲いていたドクダミの花を今も忘れることができない。→〔子どもの暮らし〕 昔から、村人で、ドクダミを干したものを煎じて飲む人もいた。筆者の祖母も飲んでいたが、煎じたものは生のものほど強烈でない穏やかな香りがしたことを憶えている。 資料→子どもの頃の薬草の思い出 写真2009.6.8下石黒 集落内の道端に群生するドクダミ 写真2011.7.4下石黒 花序のつくり 写真2010.6.15下石黒 花後 写真2017.8.27餅粮 小花から果実へ 作成2012.2.27 乾燥した土地では葉が紫色になるようだ 写真2009.8.12下石黒 全体の草姿 写真2009.6.8下石黒 |
解 説 ドクダミ科 北海道南部から日本各地のやや日影の湿り気の多い所に生える多年草。 根茎は白色で長く伸びて盛んに枝わかれして群生する〔左上写真〕。 茎は、高さ20〜50p。直立分枝し無毛で紫色を帯びている。 葉はまばらで互生し大きな托葉がある。葉の形は心臓形で先がとがる。葉の長さ4〜8p、幅3〜6p。色は光沢のない暗緑色、全縁で滑らかで軟らかい。葉柄の下には鈍頭の托葉が接着している〔下写真〕。茎とともにしばしば紅色に染まる〔左下写真〕。 花は6〜7月。写真上右下のような花をつける。白い花弁のように見えるのは総包葉である。花には花弁もガクもない。真ん中に搭状にびっしりついている黄色いものが花である。〔左写真〕 雄しべは3個で花糸は長く子房は上位で3室に分かれていて細い花柱は3個ある(下写真)。 草全体に独特の臭気がある。昔から広く用いられた薬草の代表である。 さく果は残存する花柱の間の所で裂けて細かい種子を出す。 名前の由来は毒矯め→毒を直す、つまり毒消しの意味など諸説がある。 貝原益軒の「大和本草」には、「十種ノ薬ノ能アリトテ十薬〔じゅうやく〕ト号ス」と記されているという。 托葉 写真2006.7.5下石黒 3室に分かれる子房 写真2010.6.30下石黒 横からの姿 写真2005.7.8下石黒 紫色の葉 写真2009.8.12下石黒 園芸用−八重咲ドクダミ 写真 2019.6.5 長浜 |