アズマシロカネソウ
暮らしとの関わり
 アズマシロカネソウは、カタクリキクザキイチゲ同様、うれしい春の到来を告げる花であるが、やや地味で目立たない。
 しかし、沢辺の斜面などに咲いた花に目を近づけて見ると、そのひかえめで奥ゆかしい感じの花にはさわやかな気品が感じられる。
 よく、早春に沢沿いに見られるが、時には、谷間の雪解け水が滴る急斜面の岩上に見られる。→写真
 果実は、子供のころに作って遊んだ竹トンボを連想するような形をしている。
 また、その中に入っている種子は右下の写真のように美しい球形で、まるで生き物のようによく転がる。興味をもたれた方は是非試してみてほしい。
 時には、小群生に出会うこともある。→参考画像

〔写真2006.5.7落合〕


       発芽の頃

撮影2009.4.8下石黒

       ガクと花弁


   写真2006.5.7落合


無毛の茎と葉の表裏
 撮影2009.4.8下石黒

     水辺を好むアズマシロカネソウ

撮影2009.4.8下石黒

        束生している個体



       
沢沿いにホクリクネコノメソウと共に

撮影2009.4.8下石黒

          果実期

撮影2010.5.3寄合

解 説
キンポウゲ科
 福井県から秋田県の日本海側の山地の、主に落葉広葉林内に生える多年草。やや日陰の湿ったところに多く見られる。
 根茎は太く幅の広い鱗片におおわれている〔下写真〕
 茎の高さ10〜25p。直立して分枝しない。葉も茎も無毛〔左写真〕
 根生葉は普通ないが、ときには1個ある。茎葉はやや対生1回3出の複葉。柄は短く長さ2〜5o。小葉は菱形の倒卵形で長さ1〜4p。円頭の粗い鋸歯がある。
 花期は4〜6月。茎の先に数個つける。花は淡黄緑色で径7〜10o。斜め下向きに咲く。ガク片は花弁状で楕円形で鈍頭、長さ5〜8o。斜めに開き上側の1個の背面は紫色を帯びる〔左写真〕
 ガク片は5個〔左写真・上写真〕花弁の変化した蜜腺5個、雄しべは多数で長さは約3o。
 果実〔袋果〕は線状長楕円形で長さ9o。無毛ほとんど水平に開出する(下写真)
 種子は球形で褐色で滑らか鈍い光沢がある。径0.8o(下写真)
 名前の由来は初めて発見されたのが東日本であったことと花が白っぽいことによる。


      芽生え
撮影2009.4.8下石黒


   根茎をおおう鱗片

撮影2009.4.8下石黒

       全体の姿
撮影2010.4.30寄合

      花の横顔
撮影2009.4.8下石黒

 花弁が変形した蜜弁拡大

撮影2009.4.8下石黒

   袋果と球形の種子

撮影2010.4.30寄合


撮影2010.5.3下石黒

       (種子)

撮影2011.6.21